マダラさんの作品は、常に何か臭いを感じます。臨場感、決して良い匂いではなく、ドロドロした部分の臭い。私だけかも知れませんが。今回、生贄。モデルがいそうな感じがします。主人公がマダラさん、彼女が身近な人。男性はその身近な人に、突然現れた、異質な人。その異質な人に対する、身近な人に対する、マダラさんの気持ち。そんな感じがします。とても面白いのですが、ライト級の小説好きには、言葉が難しいな、と。
作者と読者の関係を、作品の構造によって、作者と作中人物の関係に重ねているのが面白い。冒頭で主人公が食すステーキは読者≒作中人物の比喩に違いない。この時の彼は自らの想像力の産物である「妄想」に囚われていた。しかしその「妄想」は想像力そのものによって破壊される。主人公は結局、「妄想」ではないありのままの現実を見ることができたのだろうか?
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