第2話

豪華絢爛な城内に目移りしてしまう。煌びやかな照明に何やら陽気な音楽が流れている。

 

「お母様帰りましたわ! 」


「あ!!!! お帰りなさいアイシャ! アハトの大軍に追われていたって聞いたけど大丈夫だったの? 」


「ええお母様! この方のおかげでアハトの軍を退けることができました」


「あら? あなたは一体どなた? 」


女王を前に俺は一体何と名乗ったらよいのか。どうやら俺の正体は知られていないようだが...だったら


「俺は異世界からこの嬢ちゃんに召喚された拙い魔法使い。この嬢ちゃんの従者をさせてもらってます」


「!? むぐむぐむぐ~んんーーー」


ごめんね口が空かなくなる魔法をかけさせてもらったよ。その方が女王様にすんなり認めてもらえそうだったから。


「そうだったの!! アイシャったらいつの間に従者を作ったのよ~ 」


「むぐむぐむぐむ~ぐ」


「あっそうだ! せっかくアイシャに従者ができたんだから今日はお城でパーティーしましょ! 早速手配するわね。アイシャ達は部屋で休んでなさい。準備が終わったら呼びに行くわ」


そう言うと女王様は颯爽と部屋を出て行ってしまった。


「ちょ、っちょっと! なにいきなり従者なんて言ってるのよ! あなたは召喚された魔法使いで従者でも恋人でもないわ! もうさっさと部屋に行ってるから」


アイシャも行ってしまった。部屋に一人残されてしまった。城内の地図もない。少し歩き回るしかないか。というか...。


はぁーーーーーなんなんだ一体? 

いきなり知らない場所に飛ばされたと思ったら助けたの一国の王女様だったし。

しかも俺の作った魔法も全然使われてなさそうだし。

静かに暮らせるなら前にいた世界よりもいいかもしれないが...。


取り敢えず歩き回ってみよう考えるのはそれからでいいかな。



にしても立派なお城だよなー。前にいたところではこんな燦爛な建物なかったぞ

てことはこの世界は俺が世界の何年も後の世界ってことか。




ドンッ



「イッタ... すみません大丈夫ですか」


「いえ大丈夫です。あっ! あなたはアイシャ様の従者の方ですね。どこか行き先がわからなかったら案内しますよ」


メイドかぁ~本当に存在するんだなー。

町はずれの一軒家に一人で住んでいたからメイドなんてお伽噺だと思ってたよ。


「あっいや特にないが... だったらアイシャの部屋まで案内してくれないか? 」


「はいお任せください! でも従者だからって手は出しちゃだめですよー」  


「意味不明なことを言ってないで早く案内してくれ」


なぜ人の前で喋ると口調がかわるんだろうか...。





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