第9話
「随分と待っていたようだがこれはおまえ達が仕組んだものか」
「勿論そうだ。始祖を名乗る哀れな男。俺たちがおまえをここにおびき寄せたのは他でもないお前はここで死んでもらう」
二人は構えて交戦体勢に入った。
「ちょっと待っていてくれ、俺が殺される理由がない。それではお主等も反逆罪で処されるのではないか」
「そんなの明白だろ。誇らしき始祖様の真似事をするに足らず、ぽっと出でアイシャ様の従者になっただと!? 怪しすぎるだろ!!」
「なるほどそういうことか、つまりお前らは急に現れた俺が強すぎて立場が危ういから殺そうとしているのか」
「口が減らないなお前、なら一撃で心臓まで貫いてやるよ」
すると男の持っている剣に微かに炎が纏った。
「どうだ! これが俺の愛剣フリースだ!! この炎がお前の心臓を燃やし尽くす」
なんだあれはあれが炎? あんなの学校の科学実験で用いるような炎ではないか。
「この期に及んで命乞いでもするか? するなら命まではとらないぜ」
「ふっほざけ、お前らに俺が殺せるか」
言い放ち壁際のランプへと走る。
「逃げたって無駄だ!! この部屋は閉鎖されている!」
真っ先に追いかけてきた。
(掛かったな)
「後ろに隠れたって無駄だ!!! オラアァアァッァ!!!!!!!」
ズバッッ ガラガラガラ
柱が真っ二つに切れて土煙が舞う。その際に次の柱に急ぐ。
「!? ガレリア危ない!!!!」
後衛の男が慌てて降り注ぐ大破片を切り裂く。
「はぁはぁなめたマネしやがって!! 次こそは!!!!!」
「待てガレリア!」
「ああ!? なんだタクト!」
「あなた少しお尋ねしたいのですが...。あなたもしや軍師の経験がお有りですか? 」
「なに言ってんだタクト? スパイかも知れねぇ奴がそんなことはんすわけないだろ」
「いや今あなたはもし私がいなかったら武器を持たない身でガレリアを仕留めることができていたかもしれません」
何か勝手に深読みされてるが俺は軍師なんてやったことないぜ!
まぁこんな美味しい話利用させてもらうがな。
「ああそうだ俺は兵を動かさずに1国を滅ぼしたことがある最強の軍師だ」
「なら部屋にある柱全部破壊したらいいんだな」
ガレリアは一人で部屋の柱を壊しにかかった。
「邪魔者がなくなったので一つ提案をします。あなたはとても頭が切れる。ぜひ我が国の騎士団に軍師として加入しませんか?」
「そんなことを言うために一人にさせたのか? 悪いが俺はアイシャの命令しか聞き入れないのでな」
「そうですか意志は固いのですね。なら柱を全て壊したのちあなたを処刑させていただきます」
タクトも柱を壊しにかかった。
止まらぬ速さで柱が次々と壊れていく。それに伴って次第に部屋も暗くなっていく。
(よしこんなにも上手くいくとは...)
後ろのランプを外して持っておく。
「さて柱は全部壊したもう逃げ場はない。今度こそ死んでもらおう」
「にしても暗いな、柱と一緒にランプまで粉々になっちまったか」
「でもあいつは自分でランプもってやがるぜ...ばかだな」
「ええ本当です。あれでは自分の位置をばらしているようなもん...」
「いや違う!! まさか!!」
「俺の肩今だけ最強になれ!!!! オラァァッ!!!!」
思いっきりランプを空中に投げた。
「目は明るいものを先に感知し、動くものを見てしまう性質がある。お前らが自然の摂理に反抗できるならやってみやがれ!!!!」
言い切る前に力を振り絞って門まで走る。
パリンッツ
ランプが地面で割れる。
「ふざけやがって!!!!! 待て!!」
懸命に追いかけてくる。とうとう追い詰められてしまった。
「これで終わりだ!!!!!」
剣先がこちらへ向かってくる。
「エリク!! 目を瞑って!!!!」
瞬間、部屋が明るくなったのがわかった。
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