第8話

闘技場に向かう途中、アイシャからこんな質問をされた。


「ねぇさっき言ってた事なんだけどエリクが創った分身ってどんな人たちなの? 」


「ええと...俺もそんなに詳しいことは覚えていないのだが。


まずアハト王国の建国者ヒューロ。


オルクス王国の建国者ミシガン。


フレシア王国の建国者エリー。


セントスター王国の建国者オンタリオ。


彼らは正しく俺の分身だが各自の意思で争いを始めたと俺は思っている。彼らも俺と同様の魔法を使えるしさらに各々の力や魔法を発現させていたな。俺はもう争いは鼬ごっこで終わらないものだと思って参加しなかったのだけどな」


饒舌に話す自分を見て相槌をするアイシャだが多分理解していないと思う。

ぽかんと口を開けたまま歩いている。器用なことだ。


「エリクはどうして五国が争うことになったと思う? だってそれだけだったら争う理由がないじゃない」


「お?」


意外だ。アイシャは完全体育系で人の話なんてまともに聞かないたちだと思っていたから質問が返ってきたことに焦った。


「俺は誰かに操られてるんじゃないかって考えたいな。実際争う理由は俺には無いし、きっと神か何かに精神操作されてるに違いない」


俺はそう思いたい。もしそうじゃないと俺が原因である可能性が濃厚だし、俺が狙われる可能性もあるからな。流石に始祖と言ってもそれと同等以上の分身と闘ったら死ぬからな。さらに俺は殺せないというオマケつきだしな。


「そうなの、エリクってちょっと能天気ね。まあエリクの考えは私の考えでもあるから私はその意見に賛同するわ。まあ今の世界にはエリクの言う4分身はいないからエリクの独壇場になるんじゃない? 」


(いやそれフラグ...)という言葉を俺はグッと呑み込んだ。










それから闘技場に着いた。それなりに大きい建物だが所々柱や床に亀裂が入っている。



「ここが闘技場だよ。お城からも見えるくらい大きな建物だけどちょっと年季が入っているの。じゃ中に入りましょう」



闘技場の入口には少数の兵士やら剣やらが置いてあった。



「アイシャ様! 闘技場をご使用になられますか? 」



「ええ、エリクに闘技場を案内したいのだけど」



「あ…始祖様も…。ではアイシャ様は此方の屋外闘技場にご使用ください。始祖様は此方の地下闘技場へお越しください。」



「ん? 同行は出来ないのか」



「あ…ええと…。始祖様は初めてですし、地下闘技場の方には魔法結界が張ってあるので存分に魔法を使って頂いて宜しいですよ」



「そうかなら俺は地下の方へ向かおう。アイシャは屋外闘技場で待っていてくれ。あとこれを渡しておく。」



アイシャに先ほど武器庫で装填した魔法石を渡した。



「では行くか」



「あ、うん行ってらっしゃい。あれでも地下闘技場に魔法結界何て有ったかしら? 」



「では案内いたします。始祖様お越しください」



案内された通り地下階段を下りると地上からは想定つかない部屋が広がっていた。



「ここが地下闘技場です。そしてこれが強化魔法を付与する扉です。始祖様はこの扉を潜っていただいて中に入ってもらいます」



「ほうそんなものまであるのか」



言われた通りに扉を潜って中に入る。



「お前も入ってこないのか? 」



「す、すみませんちょっと催してしまったのでちょっとお花摘みに行ってきます」



わざとらしくトイレに行ってしまった。



「一人取り残されてしまったな。ならせっかくだし結界とやらで遊んでみるか。」



「コルドテンペスト!!!! 」



.........。







声だけが部屋に反響しただけで氷魔法が発動していない。



「なぜだ? どうしてでない...」



「その答えは俺が教えてやるよ」



奥の柱から男たちが武器をもって近づいてきた。





















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