第7話
手を引かれてお城の中を駆け回る。はたから見たら羨ましい事かもしれないが、まあこの王女様握力が強い。魔法以外ひょろひょろの自分ではいつ腕千切れるかわっかんねーな。
「なあアイシャーそろそろ腕離してくんねーか!? 今にも捥げそうなんだが」
「ああごめんなさいついつい案内に精が入っちゃって。私ってこんな性格だから皆から子どもっぽく見られることが多いの。だからお姉さんになった気分で舞い上がっちゃったんだ。」
「なんだ、子供らしい事が嫌なのか? 主人の命令とあらば弟にも妹にもなるぞ」
「え!!? いいよそんな事しなくて。ていうか妹? エリクって性転換できるの? 」
「出来ないぞ言ってみただけだ。ただ俺もアイシャが子供っぽいのは同館だがな」
「エリクまで!? はぁ~性格が改変できる魔法があったらなー」
「そんな魔法はない。すべての魔法を知っている俺が言うのだから本当だ」
「な~んだいくら魔法の始祖様でも出来ないことあるんだー(ニヤニヤ)」
完全に煽られている。だったらここで創って見せてやろうと思ったがこの世界の俺はなぜかわからないが新しい魔法が創れなかった。なら今一度魔法の恐ろしさを身をもって体感してもらうか
「いい返せねぇよその通りだ。この世界の俺は前に使えた魔法しか使えないようなんだ。というかそう言うアイシャこそ魔法の一つや二つは当然使えるのだよな」
「えっそれは~…」
急に辿々しくなった。空をつかむように目をそらす。
「お前まさか…」
「そうよ! 私は一つの魔法も使えないわよ。だから剣技を研いたの」
「あれ? でもさっき部屋に入った時炎魔法を使っていなかったか? 」
「ええ使っていたわ。あれはただ魔法使いの魔力を閉じ込めて誰でも一度だけ魔法が使えるようになる石を使っただけよ。」
「なんだそれは、魔力を閉じ込める石だと。そんな物作ったことはないぞ。」
「魔法始祖でも魔法で知らないこと有るんだー。ならちょっと順番を変えて武器庫を案内するわ」
そう言われて俺たちは武器庫に向かった。
周りからは俺たちが廊下でいざこざしあってたせいか変な目で見られている気がした。
着いたわ、ここが騎士団の武器や装備を置いている武器庫よ。
案内されたのは地下1階にある騎士団の武器庫だった。
「ここの装備は何でも持って行っていいのか? 」
「基本は騎士団の所有物だからフォレスター騎士団長に聞かないといけないけど、エリクなら大丈夫…だと思う。それにここにきた理由は魔法石だからね。はい、これが魔法石の原石よ」
渡されたのは透明なガラス玉のような物だった。
「これに魔力をそそいで一度だけ他者でもその人の魔法が使えるようになるの。エリクもやってみたら? 」
言われた通りに原石に魔力を込める。すると忽ち原石が黄色の魔法石に変化した。
「おお、本当にこれで魔法が誰でも使えるようになるのか。」
「因みにどんな魔法を閉じ込めたの? 」
「光魔法フラッシュだ。万が一魔力が暴発したとき攻撃系の魔法だと被害がでるかもしれないからな。フラッシュなら暴発してもただ周囲が見えなくなるだけだ。」
「へぇ~ じゃあまた案内に戻りましょうか。そうだ! せっかくだし闘技場に行かない? 私もっとエリクの使える魔法見てみたい!!! 」
それは好都合だ。下手に自分が魔法を放てば城が...いやメルクリアが消し飛ぶかもしれんからな...。それにイマイチ前の記憶も曖昧だし、魔法が創れないのも気になっていたからな
「そうと決まったら早速行くわよ! 闘技場まではここからは少し遠いから急ぐわよ!! 」
そう言うとアイシャはまた腕を掴んで駆け出した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます