第6話
アイシャの部屋に帰ってきた。
「なあ、あんないきなりパーティーの解散をしてもよかったのか? 」
「アンタが何回も告白まがいのことを言うからでしょう!! それと休憩したらお城の案内をするから」
アイシャに怒鳴られた。そんな事言ってないと思うが何なのだろうか...あとそう言えば俺の部屋は有るのだろうか? この場で休憩はさすがにちょっと目のやり場に困るのだが...。
「なあ俺の部屋って有るのか? そのー、さっきは雰囲気のままに気になっていなかったけど流石に女性の部屋を拠点にするのは少し目に痛いのだが」
と言ってももう部屋の内装やらクローゼットやらが見えてしまっているのだが...。
「そうじゃない!! いくら従者でも女性のプライバシーを侵すのはよくないと思うわ! ちょっと待ってなさい、空き部屋がないか聞いてくるから」
「おい! だから一人にしたら良くないって言ったばかりなんだが! 」
アイシャは部屋を出て行ってしまった。行動力があるのは良いことだが今しがた言ったことを忘れて出て行ってしまうとは少し不注意がすぎないだろうか。まあ年頃の女性ならこれくらいお転婆な方が愛らしいというものか。アイシャが何歳かしらないけど...。
さて出て行ってしまったのはいいけど女性の部屋に一人、流石にタンスとかを物色するような変態ではないからしないけど暇になってしまったな。アイシャには悪いが本棚の本を読ませてもらおう。
この魔法使い入門と書かれている本にするか。魔法使いの始祖が魔法入門の書を読むのは何か可笑しいと思うがちょっと気になったので見てみる事にした。
内容は俺が開発した基礎の雷魔法や炎魔法などの攻撃魔法ばっかりでなんとも面白みがない。
そうか、だからあの時回復魔法を知らなかったのか…。
ガチャッ
ドアが開いてアイシャが入ってきた。
「どうでしたか、部屋はありましたか? 」
「それが…、ううん単刀直入に言うと空き部屋は無かったわ。それですぐには部屋は用意できないから部屋が準備出来るまでは相部屋でって頼まれたの。不本意だけど私の部屋を使って」
「なんだと部屋ないのか。まあ良いこの部屋だけでも前自分が住んでいた家? より広いし何より役得...おっとそんな事より城の案内を頼めるか」
「ああそうだったわねじゃあまず王室の部屋から案内するわ。着いてきて」
やはりアイシャのような存在がいるからこそこの城の者たちは活気があり意気揚々とできるのだろう。俺とは対照的な眩しさがあるよなぁ。
「おーい案内するんだから早くおいでー」
もう遠くのアイシャが呼んでいる。彼女はまるで好青年のような、好奇心旺盛な野犬のようにも思える。
「ああ今行く」
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