第5話


酣を過ぎて静まって来たとき、一人の男が挨拶に訪れた。


「エリクシード殿お目にかかれて光栄であります。私は騎士団長のフォレスターと申します。この度はわが軍を救ってくださり感謝いたします。私はあの場にはおりませんでしたが部下から話は聞きました。そこで貴殿にお願いがあるのですがよろしいですかな? 」



「なんだ申してみよ」



「ぜひ貴殿に我が騎士団に加入していただきたいのですがどうでしょうかな。貴殿が加われば我が騎士団はどんな国にも負けることはない至上の軍になりますぞ」



「断る。俺が騎士団に入ったところで行動が制限されるだけだ。それに俺にはアイシャがいるからそれで十分だ」



「---!!!!?????」



アイシャがなぜか赤面でこっちを見てきたがなぜかわからない。俺は何か変なことを言ったか?



「ㇵッㇵッㇵそうでありましたか。王女様も隅に置けませぬな」



そう言うと愉快そうにフォレスター騎士団長は戻っていった。すぐにアイシャが駆け寄ってきた。



「ちょっとエリク衆人環視の前でなんてこと言ってるのよ!! あんなのほぼプロポーズじゃない(小声)」



「あれは俺が騎士団に加入しないための口実だ。俺が従うのは主人であるアイシャだけだ」



「あーもうわかったから喋らないでこっちが恥ずかしくなるから!! 」



まったくわけがわからないが主人の命令とあらば従うしかないな。



「お母様もうお開きにしましょう! 早く、成るべく早く。エリクがまた余計なことをいう前に」



「あらそうなの? それじゃあパーティーはお開きにするわね。これからはみんな自由行動でいいわよ」



パーティーが開かれて続々と食堂を後にする中なにやら不快な会話も耳に入ってきた。



「なぁ本当にあんな奴が大魔導士なのかよ。王女様騙されてるんじゃないか? 」



「そうだよなあいつ態度でかいしちょっとうざいよな」



「それにいきなり出てきてアイシャ様の従者になっただとか都合がよすぎだろ」



「おいお前らどうでもいいこと考えてないでさっさと行くぞ」



難癖をつけながら彼らは食堂を後にした。


「何なのだアイツらは、陰口でしか人を侮辱できぬのか」



「申し訳ありません従者様。彼らは私の仲間で悪気があったわけじゃないんです! 私は騎士団のチルセットと申します。本当に申し訳ありません! では失礼します」



いきなり謝って、風のように去ってしまった。何だったのだ一体...



「さてエリク、たちも部屋にに戻りましょう。お母様失礼しますわ」



「あらアイシャったら強引ね~ それじゃ疲れもあるだろうからしっかり休むのよ! 」



「お母様まで...もうさっさといくわよ」



俺も腕を引かれてアイシャの部屋に戻った。



メルクリアの人々からの評価はまだイマイチわからないが、どうやら始祖の俺は英雄的扱いを受けているらしい。だったら実践で証明した方が早いな。

これからアイシャに城内を案内してが、その時に闘技場でもあるか聞いてみるか。













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