第10話

尖った声とともに投げ込まれた光石。とどめを刺しに来た二人はもれなくその光の餌食となっているようだった。

目を開けると二人はキョロキョロしていた。


 「んがぁ目が焼ける! 何だ、何が起こった!?」


 「迂闊でした、まさか外部支援を要請していたとは……。失明してはもはや計画は破綻も同然」


 「エリク大丈夫!? 地下でいきなりドンドンって音が聞こえてたから駆け付けたんだけど」


 「完璧なタイミングだアイシャ。それに渡した魔法石の使い方もパーフェクトだったぞ」


 俺が渡したフラッシュを封じ込めた魔法石、なんちゃって閃光玉も上々のできだ。


 「そんなお世辞いいから何があったか説明して頂戴! 一体この惨禍何なの? 」


 俺だって知る由もない。いきなり誘い出されて殺されかけたーーなんて言ったらきっとこいつらには刑罰が下るだろう。

王女の従者の暗殺を企み、国家反逆を企てた者として死刑が下るかもな。

なら利用しない手はないよなぁ(ニチャァ……)


 「俺は無罪の罪であいつらに殺されかけたんだ」


 「えっ! あなたたちそれは本当なの? 」


 「ア、アイシャ様これは善意でやったことなんです! あいつは始祖の名を飾り、 王家を崩壊させようとしているかもしれません。私たちはアイシャ様を守るためにやったことで……。」


 「黙りなさい!! あなたたちが行ったのは自分勝手な殺人未遂です。ましてはエリクを殺そうとするなんて言語道断、反逆罪で死刑を下します」


 「そん……な……」


絶望に打ちひしがれたあいつらは地面に突っ伏してしまった。


 「嫌……死にたくないよぅ、お母さん……チルセット……グスン」


勇ましかった剣士が今や眼前で赤子のように泣いている。















 さて、頃合いかな。


 「なあ、お前ら、もし生きて帰してやると言ったらどうする」


 「うぇ?」


泣きべそかいた顔を上げてひ弱に声を上げる


 「生きて帰れるならなんだってする、召使でも奴隷にでもなるからさ」


ヒット! うまくいったぜ


 「言ったな? ならお前らは俺の従者になれ」



 「へ? はぁぁぁぁぁぁぁ!? 何言ってるのエリク!?」


あ、そうだった、この国では従者は添い遂げる人を指すんだっけか。


 「ええと、言い直すわ、お前らは俺の仲間になれ」


二人は困惑して言葉も出ないようだ。武者震いをしながらも、ごく小さく頭を縦に振っているのがわかった。


 「俺はまだ召喚されて1日も経っていない。お前らのように俺を敵視する奴も多いだろ。そこでお前らには俺の存在を広めてほしい。いいか?」


半ば強引な脅し文句ではあるが、もはや彼らには拒絶する力も思念も残っていないだろう。我ながらエグイ拷問をしたな。


 「し、従うから殺さないでくれ……」


 「しかし、我らは盲目の身、もはやお役に立てることなど何も……」


 「それなら心配はない、今からお前らには今から地下闘技場から出てもらう。そこで最初の仕事を課す」


彼らはなんとか立ったが動くことができない。しまった、彼らを外へ出すことは考えてなかったな。


 俺が手を引いてやる……のは危険が伴うな。こいつらは目こそ見えない者の腕は変わらず動くからな、無言の腹パンでもされたらたまらないな。

どうしたものか……。そうだ!


 「お前らはアイシャに手を引いてもらうぞ」


無言でアイシャに手を合わせて懇願する。


 「そ、そうね。じゃああなた達は手を出しなさい」


タクトは手を前に、ガレリアは両手をTの構えにした


 「ほ、本当にアイシャ様なのですか? 」


 「本当よ、正真正銘、王女アイシャ」


  「アイシャ様に手を握ってもらえるなんて感激です」


そうか? だってアイシャって握力……。


 「ギィャャャャャ!!!!!!! 痛いです、痛いですアイシャ様ーー!」


 「さあ行くわよ!!」


ま、いっか。奴らには良い教訓になるだろう。

じゃ俺も出るか。


俺たちはそろって地下闘技場を後にした。

























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