第3話
「ここがアイシャ様のお部屋にになります。 アイシャ様! 従者の方をお連れしました。入ってもよろしいでしょうか? 」
「!? 従者じゃないわよ! まぁいいわ入りなさい」
アイシャの怒声がドア越しにも聞こえてきた。さっき口を奪ったのは誤らないといけないなぁー。
「では私はこれで失礼します。では、パーティーの支度ができるまでごゆっくりください」
行ってしまった。よかった、案外親切な人もいそうだな。
「では入らせてもらうぞ」
ピュュューーーーン ファンッ
ドアを開けた瞬間部屋奥から小さな火球が飛んできた。どうやらアイシャが放った魔法のようだ。
「ずいぶん物騒な出迎えだな」
「そりゃそうでしょ! あんたがいきなり私の従者なんて言うからメイドたちから変な目で見られているのよ。それにあんたならこれくらいの魔法痛くも痒くもないでしょ」
「当然だ。その魔法を考えたのは俺なのだからな」
「えっ」
ん? 何だ何かおかしい事をを言ったか。
「あなたの名前ってもしかして大魔導士エリクシード・スペリオル? 」
「なんだ俺の名前を知っているのか。いかにも俺はエリクシード・スペリオルだ。この世界に召喚される前の世界ではまぁそれなりに楽しくやってたよ。」
「本当に存在したんだ、大魔導士なんてただのお伽噺だけだと思ってたわ」
「なんだそんなに驚いて。それに大魔導士って言っても世界の五国を一撃で葬ったり、一人になった世界から新たに生命を生み出しただけだ」
.........。
おい何か言ってくれ。沈黙が一番退屈なのだ
「あーそういう事なのね。ねえエリク、あなたは私の従者なのよね」
「ああ、そうした方があの場は騒々しくならないだろうからな」
「だったら私のお願い叶えてくれない? 」
「ほう、というとそれはどんな願いだ? 」
「アハト王国を消して欲しいの。私はお父様を殺したアハト王国の奴ら必ずを滅ぼさなければならない」
「それはできないな。今の俺は人は殺せない」
「どうして!!?? 大魔導士のあなたが一国も滅ぼせないの!? さっきも五国を滅ぼしたって言ったじゃない! あれは嘘だったの!!!!」
「落ち着け!!! お前は血が上りすぎだ!」
「フロスティール」
部屋の温度が見る見る下がっていく。
「はぁ、落ち着いたかアイシャ、俺も理由もなしに言ったわけではない」
「そうなの...御免なさい行き成り逆上してしまったことを謝罪するわ」
「大丈夫だ、問題ない。誰しも親しき者の死を悔まない者はいないからな...。」
「それで理由って何なの。烏滸がましいけどちゃんと聞かせてほしい」
「わかった。その理由は俺の魔法に関係する。さっきも言ったが俺は五国の戦争を終焉させるためにすべての生命を殲滅してしまった。
その結果、僅かに残った生物以外は人間他、植物もまともに生えない荒廃した土地になってしまったのだ。
そこで俺は魔法で生命を蘇らせようとしたんだ。でもそれだけは出来なかった。
そこで逆に生命を大量に産めばよいのではないかと考えた。そして実際それは成功した。しかしその時に神に咎められでもしたか代償に生物を殺せなくなってしまったのだ。
そのため俺は五国を統治するために俺の分身を四体作ることにした。俺の分身はそれはそれは急速に各々の国の発展に貢献してくれた。
しかしそこで困ってしまったことがあった。分身どもが各々の自我をもってまた争いを始めたのだ。
そして奴らはただの分身ではなく一国の王になってしまった。そしてこの争いが今もなお続いている...と予想する。
そして俺だけは王にならずにひっそり暮らしていたのだ。だから五国のなかで一国だけはやけに争いに弱い国があると思うぞ...って言ってもそれは自明だろうけどな。まあ俺の初めての主人だしその願いは成るべくもっていけるようにするぞ。」
「ざっとこんなもんだどうだ幻滅したか? お前の父親を殺したのは俺の分身が創った国の奴らなんだよ。」
「ううん。話してくれてありがとう。ちょっと話の整理ができていないけれど争いを起そうとして起こしたんじゃなくてその分身たちが勝手にやったんだったらエリクは悪くないよ。それに私も争いを終わらせたいと思っているからこれからずっと私のそばにいてほしい。いいかな」
「もちろんだご主人様。」
「その呼び方止めなさい。普通にアイシャでいいわよ。私もあなたはエリクって呼ぶわ」
「わたった。ア...アイシャ」
「あーーーーもうだめだ、緊張が溶けちゃって口調がもどる。」
肩の荷が降りてしまって口調が戻ってしまった。
「えっ!? エリクって素顔そんな感じなだったの!?? よし決めた! 私とエリクの中に隠し事は無しよ! いいわね!! 」
はぁ~よかったあー。アイシャも理解してくれてよかった。よし、これからの目標は俺が生み出してしまった分身が統治する国の制圧だな。
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