2020年7月4日(土)17:00

『先月、私達は交通事故に遭った。

でも、楓が命をかけて突き飛ばしてくれたお陰で一命を取り留めた。

自室に引き篭もった後も、楓が普段の生活に戻れるよう助けてくれた。

今私が生きているのは楓のおかげだ。

だから、私が経験するこれからの出来事をこの交換日記で楓に伝えようと思う。』



わたしはペンを置くと、窓から見える景色をぼんやりと眺めた。

夕陽が世界を赤く染めている。

この間までは何も色の無い世界だったけど。

楓が助けてくれたお陰で、見ることができていると思うだけで、こんなにも色鮮やかだった。



楓、わたし、精一杯生きてみるよ。

楓が命をかけて守ってくれたことに恥じない生き方をする。

しわくちゃのお婆ちゃんになった時、楓に助けられたことを誇りに思えるように。



だから、かえで。

これからも見守ってね。



大好きよ。



《完》

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