2020年6月15日(月)
朝6時、突如ベルの音が鳴り響いた。
強制的に叩き起こされたわたしは、ベッドから起きて呻きながら机に向かう。
そしてベルを叩いて暴れている目覚まし時計の隣に立てかけてある日記帳に気づいた。
わたし、ここに置いてたっけ?
わたしは不思議に思いながら日記帳を開く。
「え、なにこれ…」
思わず声が出た。
日曜日の日記が楓(?)によって書かれていた。
ど、どーゆーこと。
ちょっと落ち着こう。
わたしは一旦日記帳を閉じた。
日記帳の表紙には、太字の黒の油性ペンで『交換日記』とまる文字でかでかと書かれていた。小さくハートマークまである。
なんだろうこれ、わたしこんな題名書いたっけ。いや書いてない。
というか、日曜日の記憶がない。
………
日曜日、楓がここにいた!?
いた、というか、わたしが楓だった!?
意味が分からない。
わたしは狂ってしまったのか。
いやだから落ち着こう。
わたしは一ノ瀬まゆ。今年高校に入ったばかりの女子高生。
そして坂下楓は中学から一緒の同級生。長く真っ直ぐな黒髪とすらっとしたキレイな脚がチャームポイントだと思う。
楓のことを思い浮かべたら、ちょっと落ち着いてきた。
………
楓は、わたしの中で生きているんだろうか。
わたしの身体で笑ったり、背伸びしたり、ゴロゴロ寝転んだりしてるんだろうか。
「…かえで?」
そっと声を出して呼んでみた。もちろん返事はない。
もう一度日記帳を開く。これが楓とわたしを繋ぐ絆だと思うと、少し手が震えた。
『月曜日は学校行けるかな』
今日は…学校に行ってみようか。
楓が見ている。そう思うと少し気力が湧いてきた。
でも、日記を楓に読まれるなんて思ってもみなかった。他の妄想もあれこれ書いていたら、完全に引かれるところだった。
無意識に生成された恥ずかしいという名のエネルギーが、わたしの全身から決壊して溢れ出し、数分間ベッドの上でのたうち回った。
世界が色づいてきた気がした。
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