第3話 奏と本音
帰り道を早歩きで帰り、自宅の玄関を開けると、見知った靴があった…。余談だけど、僕は、独り暮らしをしているんだよね。親は海外に行っちゃってる。こっちに残る理由もなくなっちゃったしついていっても良いかなって思ったりもしてる。さて、そんなことは置いといて、この靴の持ち主…美緒が僕の家に来ているんだよね。毎晩夕飯作りに来てくれるのは嬉しいけど、秋人君に知られたらまずいんしゃないのかな?
「……ただいま」
とりあえず帰ってきた事だけは小声で伝えささっと自室に帰ろう…でも、階段を登って自室に入ったらベッドの上に美緒が居たんだよね…異性のベッドの上に軽々しく乗れる度胸はすごいと思う。
「あ、お帰り奏。ご飯もう少ししたら作るね。」
「う、うん。ありがとう。」
そもそも、彼氏ができたのになんで美緒はベッドの上に座ってるんだろう。ご飯を作りに来たとはいえ普通はリビングにあるソファに座るもんじゃないのかな?
「あ、あのね美緒…彼氏がいるんだから僕のベッドの上に座るのはまずいんじゃないかな?匂いとか移ると怖いし…」
「え?別にいいと思うけどなぁ。秋人君そういうの気にしなさそうだし。」
そういう問題じゃないよ!って言いたいけど本当にどうでもよさそうな顔をしているからツッコめない…
「……まぁ、美緒が良いなら何も言わないけど、この事は秋人君には内緒にしてたほうがいいよ。」
「あ、その事だけどね。私明日からご飯作りに来ないから。」
「……ひょ?」
今、なんと?料理に関しては壊滅的な僕にとっては死活問題になりえる発言を聞いた気がするよ?
「だって、幼馴染だけど異性なわけじゃん?だから、私に彼氏ができたから明日からは来ないようにしようって。だから必然的にご飯を作りにこれないから言ったんだけど?」
むむっ、確かにそれはそうだ…まぁ…顔を合わせたくない僕からすればそれは願ったり叶ったりだね…あとは、僕から伝えるべきことを伝えるだけかな。
「……わかった。ご飯食べたあとに話したいことがあるけど大丈夫?」
「んー、今日が最後になりそうだから別にいいよ。じゃあ、ご飯作りに行くから」
「うん」
美緒はベッドから降りてキッチンの方へと向かっていった。さて、あとは…
「今週の土曜日に渡そうとしてたプレゼントをどうするかだね…」
本当なら今週の土曜日、僕と美緒は出かける予定があった。彼氏ができてしまったから当然美緒は断ってくるだろう。だとしたらこのプレゼント…ネックレスは余り物になってしまうんだよね…渡してもいいけど、美緒が付けてくれるわけがないし…どうしたもんかな。
「まぁ…渡しちゃっても良いけど…高確率でキモがられるだろうし…あ、そうだ。手紙と一緒に渡して後で開けてもらえばいっか。裏切り者に合わせる顔なんて明日からは無いわけだし。」
早速手紙を書いてしまおう。適当に紙を取り出して、サササッと書いていく…あれ?すんなり書けてしまったぞ?
「ご飯できたよー!」
おっと、タイミングが良かったみたいだね。ご飯が出来上がったみたいだ。階段を降りて椅子に座る。目の前には出来たてのご飯が置かれていた。
「いただきます」
「どーぞー」
近くに置いてあった野菜炒めをぺろり…うん。美味しい…あれ?何故だろう。涙が出てきそうになった。あぁ、そうか。明日からは食べられないから悲しくなってきたのか…
「……美味しいよ。」
いつもならすぐに言う感想だけど、今日はすっと出てこなかった。美緒は何も言ってこなかったけど…そうこうしている間に食べ終わってしまい、食器をささっと洗面台に持っていき、椅子に座った。
「それで、話って?」
「うん。今週の土曜日の事だけどさ、美緒に彼氏ができたから二人っきりで行くわけには行かないじゃん?だからさ、それを取り消ししてほしいんだ。」
「っ……うん。仕方ないね。わかったよ、土曜日の約束は取り消しね…」
一瞬目を見開いてすっといつもの顔に戻った美緒が取り消しを了承してくれた。良かった、嫌だと言われたらどうしようかと思ったよ…
「ありがと…だったらさ、これを受け取って欲しいんだ」
「えっ…これは?」
僕は事前に用意したネックレスを箱に入れた状態で手紙と一緒に渡した。
「……本当なら土曜日に渡そうとしてたものだよ。中身と手紙は後で読んでね。あ、感想とかは聞くつもりはないからそのつもりでね。」
「わ、わかった。ありがとね…話ってこれで終わりかな?」
「ううん。あと2つほどあるけど…明日から、僕達は『幼馴染』じゃなく、『他人』として過ごそうかなって思うんだ。仲良くしてるとこを見られたくないからね…」
「……えっ…」
ん?思ってた返事と違うものが帰ってきたな…美緒は目を見開いて唖然のしていた。心ここにあらずって感じだね…
「だってさ、仕方ないじゃん。美緒には彼氏ができたんだからさ。二人っきりのときでも僕と一緒に居ると誤解されちゃうでしょ?それだと駄目だからさ。明日からは家に来ないわけだし外でも他人同士って事にしないとまずくない?」
「そ、それはそうだけどさ…それだと奏が大変じゃないの…?ほら、話し相手とかさ…」
「そこに関しては安心してくれていいよ。部活の友達のとこに混ぜてもらうから。」
「そ、そっか。それなら安心かな…」
一々僕の心配なんてしなくていいのになぁ…美緒のことを思って話しかけなかっただけだから今度からはそうしなくて良くなっただけなのに…
「……うん。わかった。明日からは他人同士って事にしましょう。」
美緒は渋々と了承してくれた。うんうん。これで離れられるね。あとは、完全に絶縁する為には…
「それとこれがラスト。必要なこと以外会話をしない。他人同士だから話してもいいんだけど、僕としてはそれから仲良くなりすぎるのも困るから連絡時以外は会話しないほうが互いに楽だと思う。それでいいかな?」
「……う、ん…」
よし!これでほぼ完全に関係を断つことができそうだね!良かった良かった…僕としてはすごく悲しいけど美緒からしたら嬉しい提案のはずだ。反応が少し気になるけど僕の心配なんかしないはずだ。
「こ、これで終わりだよね…わ、私、帰るからっ」
「うん。じゃあね」
美緒はそのままネックレスと手紙を持ってスタスタと帰っていった。ふぅ……疲れた。明日からは他人同士で過ごさないとな…辛いけど、これは仕方ないことなんだよね…うん。本当に…仕方ないことなんだ…
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【あとがき】
どーも。蟹肉ソーセージです。
まずは、この作品の閲覧ありがとうございます。たくさんの応援とブックマークをいただけて嬉しいです。想像以上の反応で正直驚いています…
さて、この作品についてですが、毎日投稿ではなく完全不定期投稿になります。仕事のほうで、昼勤と夜勤の交代制になるので更新できる週とできない週がありますので更新が遅かったらあ、夜勤なんだなって思ってもらえると嬉しいです。
次に描写などについてですが、説明にもある通り、細かな描写などができません。ほぼ処女作ですので、文が下手くそなんですよね…なので、誤字脱字、ここがおかしい!という部分がありましたらできる限り修正していきますのでコメントの方に記載してもらえると助かります!
次話は、下記上がり次第投稿したいと思います。
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