概要
その出会いは、鬼の生に光をもたらした。
少し切なくも、情にあふれた物語。
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!あなたは、この作品を読んで何を思うのだろうか?
【物語は】
鬼と呼ばれる野獣の見た目の者が産み落とされたまま山に捨てられ、生存本能に従った結果、人も食らうようになる。そこで不思議な現象が起きた。人を食らい続けた結果、人の言葉が理解できるようになったのだ。(もちろん、これを読んでそんなことが起きると信じる人はいないとは思うが、これは物語の設定である。念のため)
そんな鬼はある日、いつものように捨てられている赤子を見つける。人間は鬼にとって食料でしかなかったが、この日は違った。これが鬼にとってのターニングポイントとなる。孤独な鬼は、一体どんな体験をするのだろうか?
【登場人物の魅力】
主人公の鬼は、孤独な生活を強いられていた。その鬼はある女…続きを読む - ★★★ Excellent!!!必見!これはただの感動作ではありません!
短い物語の中で鬼と人が出会いそして鬼の心が変化していく様が見事に描かれています。
「鬼」という存在がこの物語の主軸となっています。
そしてその「鬼」は二人の人との交流により、やがて人へとなっていく。
この一連の流れの描写がとても高クオリティな文章力で描かれています。
人となった「鬼」が山から下りて人の世界に立った時にその目で見たものは「人の中に住み着く鬼」の姿。
果たして本当の鬼とは何なのか。
姿形が人でなければ「鬼」なのか。
それとも「鬼」とは人の心に住み着く見えざるものなのか。
とても深いテーマ性があり、そして考えさせられます。
短い文章の中でそのことを強く訴えかけてくる作品だと思い…続きを読む - ★★★ Excellent!!!極めて優れた日本古典童話風のヒューマンドラマ
■いわゆる和風ファンタジーに属するスタイルの作品。形式としては昔話の形式である
■人の世界の理の外側に存在する生命体である『鬼』、当然人間社会の常識など知る由もない。
その鬼の生活テリトリーには、人間の育てきれなかった赤子が口減らしとしてたびたび捨てられる。
言葉と知恵を持たぬ鬼には野山の獣も、人間の赤子も区別はつかない。当然のように赤子の肉を食うて、いつしか鬼は言葉と知恵を身につける。人間の社会を知らぬ鬼はそれが当然のことと思っていた。いつものように捨てられた赤子を食らおうと思うと一人の女性がそれを阻止しようとする。それから鬼と赤子とその女性との3人による奇妙な暮らしが始まる。そして…続きを読む