いつの日か理想をその手に

この作品はどういう話なの、と訊かれると、一言で答えるのは難しい。
少年少女の冒険もの、学園もの、とも言えるし、かと言えば戦争ものであったり、裏社会、サスペンス感、さらにはSF的な要素まであったりする。今まで読んだことのない、独特の味わいと雰囲気の作品。

多くない文字数の一話一話で多くの情報と展開が披露されていて、テンポの良さと重厚さを併せ持ち、飽きを感じずに読み進められる。
驚きの展開が多くあり、物語がどう進んでいくのかまったく読めないながらも、ところどころの場面で物語が何かしらの目的を持って進んでいることも示されていて、レールに沿って走っている安心感もある。
佳境に向かうにつれ、物語は迫力を増していく。

アリスとマルスという姉弟、そしてエルヴィンという謎多き人物。
崩れゆく世界で、理想郷を追い求める。
しっかりと小説を読んだ愉悦に浸りたい人に、おすすめの作品。

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