作中に出てくる『幻想即興曲』作曲家本人は葬り去ろうとしていた逸話がありますが……手紙で出てくる『俺』が放つ情感は正しく天才のそれで、しかしその瞬間まで彼は磨耗仕切っていた同じものに情熱を傾け続けた、脆さや強さをもつ人々のお話興味をもたれた方はお手に取りくださいませ
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あるピアニストの葬式で弔いの曲を弾いたのは、故人の無二の親友だった。演奏中に感情が高ぶり、演奏を中止しかけたところで、その手によく知るあの魂が乗り移る。読むピアノ。圧倒的な描写の嵐。天国へと響く葬送曲と、想いの綴られた四枚の手紙。寂しげで、けれど青空を翔ける鳥のように美しい作品でした。