第5話「エラーリスト―file:04―」

 今、俺はアメリカのド田舎から日本という国にやってきたところだ。


 世界でも時々耳にする樹海と呼ばれる所に居るんだ。


 夜中の一時か二時くらいかな。


 時差ボケがあるおかげか全然眠たくないから丁度良かったぞ。


 まあ、俺がこんな気味の悪い所で何をするのかって知りたいよな。


 知りたくないやつはそもそも俺の配信を見ないだろうから、そんな奴は居ないっていう感じで進めていこうか。


 批判は好きじゃないんだ。

 アンチはお帰りくださいってことだ。


 あと、良い子はおねんねの時間だからな。


 学校、宿題、習い事が終わってからこの動画配信を見てくれよ。


 って言っても、生放送後のこの動画があげられるかどうかはわかんねえけどな。



 じゃあ本題に行こうか。


 生まれる世界を間違えた、なんて甘い考えだと思うか?


 生きている世界が違うとか、もっと別の生き方がーとか、ゲームの世界ならとか、非現実的な妄想を巡らせては、自分はこんな程度で終わる奴じゃないなんて思って生きてやしないか?


 もし、別次元のもう一人の自分に乗り移る事が出来れば、その順序を覚えていれば、いくら次の世界が今より貧しかろうが死にかけていようが、すぐに切り替えて別の世界線に移動すればさ、いつかはマシな世界にたどり着けるんじゃねえかって思ったんだ。


 何言ってるのか分からないってやつが多いだろうから、簡単に説明してやるよ。


 ようはパラレルワールドの、別の世界線へ移動しようぜって話だ。


 じゃ、まず用意するものから紹介しようか。


 睡眠薬は……まぁ、どれでもいい。


 強力なものでも、その辺で売ってそうな効き目の無さそうな安いやつでもな。


 大事なのはそこじゃないんだ。とりあえず眠れるかってこと。


 強力なものを用意して一生お休み、なんて嫌だろ?


 一生お休みのままじゃ、この辺の死体となんら変わらないからな。


 おっと、話が逸れるから戻すぜ。


 乾燥させたハーブとユリの花、薔薇の刺、麻薬のいずれか。


 おっと、ちゃんと合法のものだと思うから安心してくれ。


 そこら辺を歩いていたサングラスをかけたおっさんに金を渡せばいつか貰えるよ。


 多分ね。


 まあ、あんまりおすすめはしないけど。


 ちゃんと俺は正式に貰ったぜ。

 サングラスしたガタイの良い人からな。


 おっさんじゃねえから安心してくれよ。


 まあ、そしてここからが重要だ。


 目を開いていても閉じていても見えない真暗闇の空間、他人との距離は出来る限り離れること。


 この空間の中、さっき言ったものを夜中の子の刻から寅の刻の間にすり鉢で粉上になるまで擦り合わせて飲み込む、そして寝る。


 そう、簡単だろ?


 お好みで蜂蜜何てものをいれるやつも居るとか居ないとか。


 まあ、甘い世界に行きたい奴はそっちの方がいいかもしれないが、今回は通常通りにいかせてもらうぞ。


 甘ったれた考えは好きじゃないからな。


 こうしている俺の事を甘ったれた糞野郎だって批判する奴も居るだろうが、そんな奴らともグッバイだ。


 また会いたくはないが、また会おうって言葉だけは言っておくぜ。


 見てくれている皆、暗闇だから何も見えないだろうが、今、俺の目の前にはさっきの混ぜ合わせた粉とそれを飲むために持ってきた水がある。


 真っ暗なせいで俺も手探り状態だがな。動物の声が時々聞こえてくるのが薄気味悪いぜ。


 映像を見せてくれないと声だけじゃ分からないって言うだろうが、そこは我慢してくれよ。


 俺も見せてやりたいんだが、本当の暗闇じゃないとダメってことだからな。


 基本を大事にってやつだ。


 じゃあ、すっとぼけのお気楽政治家や楽して生きている奴、他人を傷つける行為をする者たち、反吐が出そうな偽善者ども、サヨナラだ。


 次の世界でそういう奴らが居ないことを祈るよ。


 まあ、実際にこの後どうなるかは分からねえが、今までありがとう。


 サンキュー――



 ――Errorcode001:消失

 ――New……Error……code……003:抜魂

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る