その光は、かぼそく、ささやかで、けれど暖かい

感情を手にしたAI――その心のケアを行うために設立されたAI対策機構AICO。そこに所属するディアナは、新たなパートナーとして恋愛型AIエレジーを迎える。けれど彼は、愛を忘れたAIであった…。

荒廃した世界を避けるように創られた世界は、まさにSFの世界そのもの。けれど、そこを舞台に展開される物語は愛に満ちています。
親愛、恋愛、誰かを信じる愛、信じたいと願う愛。愛の形は様々あって、そこからは時に苦しみや悲しみさえ生まれます。このような多面性は、どこか様々な波長を内包する『光』と似ているのではないかな、と本作を読んでいて感じました(最後にはそっと胸を暖かくしてくれる…という部分も含めて、です)。

読み終えた時に、ほんのり心が暖かくなる。本作は、そんな優しさを持った物語です。是非、ご一読くださいませ。

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