さ迷いながら

 実にロマンチックな悲恋譚で、短い舞台劇になってもおかしくない。
 愚か者はどの陣営にもいるものだが、本作では確認し得る限り賢い知性が二人しかでてこない。ある意味でその構成自体が悲劇といえよう。愚かしさが招いた悲劇ではなく賢さが招いたそれなのだ。
 ともあれ、怨念と塵芥に満ちた世界をどう抜けていくのかを他の読者にも楽しんで欲しい。
 詳細本作。