本当は感動物語であるはず! 優しい語り口、それ故に怖さが増幅されていく

 今年、小学校に上がったばかりの主人公には、ひとつの秘密がありました。
 それは、三歳の誕生日に買ってもらった、自分にそっくりなお人形のメリーちゃんとの不思議な生活。
 双子の妹のように大事にしていたそのメリーちゃん。引っ越しの際、手違いで捨てられてしまいます。
 そんなメリーちゃんが……。

 これは、よく巷で語られるホラーなのですが……。

 語り口が、とても優しくて暖かいのです。
 メリーちゃんをたいせつにする主人公の優しさだったり、主人公を想うメリーちゃんの思いやりだったり。柔らかい童話のような語り口なのに……。
 それが、なぜか怖さを倍増させるのです。

『今あなたの後ろにいるの……』

 これは、捨てられたはずのお人形と主人公と、そのお友達との触れ合いのお話。

 ほのぼのしたあらすじなのに……、そして、思わず、後ろを振り向くのに、勇気や決心が必要になるくらいの物語。

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うしろのメリー

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