うしろのメリー

余記

第1話 通学路

彼女は、いつも、突然に、突拍子も無い事を話し始める。


「メリーさんの電話って、実は怪談じゃないと思うのよ」

たとえば、こんなふうに。

いつもの通学路、いつもの通り道。

いつも、走って私を追いかけて、やっと追いついたみたいに息をはずませて。


「じゃぁ、どんなお話だと思うの?」

「うーん。だからさ、なんというかね・・・怪談みたいなお話なのが嫌なの。

 ほら、私って怖いの嫌いでしょ?」

そう。彼女は、なぜか怖い話・・・怪談の類が嫌いらしい。

その割に、私より詳しいんだけど。


「メリーさんの電話ってお話、捨てられたお人形さんが、元の持ち主を慕って、はるばると戻ってくる、っていうお話なんだけど。

 いじらしいお人形さんの感動出来るお話じゃない?」

うーん。そうなのかなぁ?

怪談みたいに話されてるから、持ち主の人を恨んでいるお話だと思うけど。


「ほら、お人形じゃなくて・・・例えば、犬だったりしたら違う雰囲気のお話になるんじゃないかなぁ?」

飼い主と別れてしまった犬が、はるばると飼い主の元へと旅して戻ってくる・・・そういうアニメ、あったよね。

名犬ラッシーかな?


「じゃぁ、あなたは犬になりたいの?」

と、そんなことを聞いてみる。

私は、最近のは知らないからなぁ。

「そうじゃないのよ。私は人を驚かせたい訳じゃないし」

と、そんな事を話してくる彼女は、私の、捨てられてしまったお人形。

名前はメリーさん。

今、私の後ろにいるの。

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