「この子が悪いんじゃない」それは、母の祈りにも似た望み。

我が子に纏わりつく黒い靄。
それは、母にだけ見える幻想で……。
周囲を誤魔化そうとすればするほど、靄の輪郭が際立つことになる。
そんな母の戸惑いや悲しみに歪んだ笑みを浮かべる我が子。
その辺の描写が静かに悲しく伝わる作品です。


黒い靄は、彼の良心や罪悪感を飲み込み失わせるブラックホール。
成長するにつれ、その靄も大きく育ち、母の望みは打ち砕かれることになり……。
やがて、社会を震撼させる存在となるとのだが、それはまた別のお話。

これは、作者雨杜和様が執筆中の長編小説『後宮の悪魔』に登場するシリアルキラーのエピローグ。(多分^^;)

そろそろ佳境を迎える『後宮の悪魔』
この母の気持ちにはなれないけれど、私もこの彼の行く末が気になります。