第4話 彼女について考えられる事

 彼女が本当に望んだことは、食べることを馬鹿にしない誰かだったのかもしれない。その誰かを彼女は探して、違う学校の通学路にまでわざわざ来たのではないか。

 そんな人を見つけられなくて、或いはいても気付けなくてそれで彼女は亡くなったのだ。生きている人間に追い詰められて幽霊になるしかなかったのだ。

 彼女がケーキを食べ終わったときに僕が言った一言は、果たして彼女を救ったのだろうか。それは都合良い解釈だろうか。彼女のような最期を迎えた人には、嫌みに聞こえてしまったかもしれない。この世に期待してもどうしようも無いと見切りを付けさせてしまったのだろうか。

 

 だとしたら悲しすぎる。だから僕は都合よく解釈してしまう。せめて救われていてくれ、と。

 

 幽霊よりも生きている人間の方が怖いのかもしれない。そういえば、僕もあの時それをすでに分かっていたのではなかったか。僕が青い服の少女に挑戦できたのも、生きている人間である同級生に攻撃される可能性が怖かったからだ。


 高校の同級生から聞いた事はまだある。亡くなった女の子が罵倒されたのは初デートの日で、彼女はその時、コバルトブルーのワンピースを着ていたのを見た人がいる、との事だった。

                                 終

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

青い服の少女 肥後妙子 @higotaeko

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ