恐怖体験ではなく不思議な話なのは、誰も傷つかなかったからでしょう?

 明治時代に廃れた村なのに懐かしさを感じる主人公。しだいにこの村で暮らしていた記憶を思い出します。
 一歩間違えると男の子が失踪したままだったり、帰ってきた男の子の様子がおかしくなったりと、バッドエンドに傾いていたでしょう。「そういえば、こんな不思議な話があってさ」くらいのほのぼのさが私にはちょうどいいです。
 ただ、ホラー好きだと薄味で満足できないかもしれません。知り合いに尋ねてみると「もっとハラハラする展開を加えてもよかったのでは?」と不満そうでした。
 私としてはストーリーだけでなく風景の描写にも着目して……うーん、あの人描写はいらないと考える人でした。あの人は「怖いかどうか」が判断基準ですから、この作品の着眼点や意見が分かれるのは仕方がないのでしょう。