ただの女の子じゃなくなると、いろんなことが見えてきた

 物語に触れていると、ステキなシーンを目の当たりにし、魅力的なキャラクターにであう瞬間があります。
 この感動を忘れないうちに、文字に残しておきます。

 手に取った物の記憶を読み取れる能力に目覚めた萌乃香ちゃんは、この能力を活かして落とし主に届けています。
 ところが、とあるぬいぐるみの思い出を覗くと持ち主の顔が真っ黒。悲しい理由で捨てられてしまったのです。そんなの可哀想だと萌乃香ちゃんは引き取ることに。
 楽しくて嬉しくて最高だった思い出。
 それなのに顔が見えない持ち主。
 だけどある日を境に思い出が変化します。このシーンが『ワンダーランドのおひざもと』で一番印象に残りました。
 あの時捨てられなくて本当によかった。
 傷ついたままで終わらなくて本当によかった。
 どんなにつらくて悲しくても、とりあえず生き続けていれば「ひょんなこと」で好転するんじゃないか。そんな希望を感じました。

 このエピソードを読んでぴょん太が断トツで好きに……と思いきや、さらに上回るキャラクターが現れました。
 なんと白鳥さんである。
 12話の激昂するシーンで「この子はプライドをしっかり持っているんだ」と一目置いていたのですが、14.15話で一気に好きになりました。とくに別れ際に放ったセリフにしびれました。まだ子どもなのに、心が強くて堂々としていて、かっこいいです。
 正しい人は優しくないから苦手。そんな認識を抱いていただけに、白鳥さんの存在は凝り固まったイメージを覆してくれました。

 まさか、こんな体験が出来るとは思いませんでした。物語の力を改めて認識しました。
 非常に面白かったです。

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