みんな仲良く。大切なのはわかっているけど、これがなかなかむずかしい

 レビューに釣られて本編を読みました。
 「少し泣ける」が具体的にどんな内容なのか、またどれが伏線なのかワクワクしながら読み進めました。だから他の人とは違う見方で物語を楽しみました。宝探し気分です。

 自分はキャラクター重視で小説を読むタイプなので、たくさんの個性的な登場人物がでてきて大満足です。
 また、天音ちゃんとフウちゃんのやりとりや、イケメン四兄弟の関係など人数が多いといろんな関係性のバリエーションがあって面白いです。

 そのなかで、ある少年がとても気になりました。口数が少なく距離をとっているのですが、「拒絶」ではなく「遠慮」の印象が強いのです。本人は他人に気を遣っているんだけど、かえって周りの人は寂しく感じているようなすれ違いにもどかしさを感じました。
 無理に仲良く「させる」のはなんか違う。
 その子の気持ちを尊重して距離を保つ?
 個人的には、天音ちゃんの決して目を離さず、ゆっくりと寄り添う姿勢が好きです。
 (イチオシは9.10話!とくにあのシーンが「美しい」!天音ちゃんの心の声や、答えにくい質問のアンサーや、天気と掛け合わせた心理描写がサイコーなんですって!泣いていたけれど、読み手は悲しみとは別の感情を抱く。ここに小説の面白さ感じました)

 『天神さまがやってきました⁉︎』は個性豊かなキャラクターが多く登場し、人との距離感も十人十色です。
 みんなと仲良くなることが素晴らしいと学校では教わりますが、自分の距離感を押し付けないで相手を思いやることが大事だと感じました。

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