迎撃

 莉桜は翔太の腕の中でそのぬくもりを感じていた。


 ただ、麗華の気配を感じる。


 翔太といることで感度があがっているからだろう、1キロくらい離れているが分かる。


 向こうはこちらを特定できていないはずだ。


 「翔太」


 「ん?」


 「麗華の気配がする」


 「そうか、こちらから仕掛けるのか?」


 「多分麗華はまだ気づいていない、こちらが先手を取れる」


 「どうやって悪霊を祓うんだ?」


 「私が直接麗華の体のどこかに触れることができれば、それだけで祓える」


 「さすが、神様だな」


 「ただ、それをすれば麗華の体もおそらくはもたないだろう」


 「そうか・・・」


 「それと、このアパートは監視されている」


 「え?誰に?」


 「警察だ」


 「警察!!!」


 「大丈夫だ、取り乱すな」


 「でも、警察か」


 「私を取り調べた刑事と、もう一人若い刑事、私が何か知っていると思っているのだろう」


 「未成年に対するなんちゃらの罪で俺が捕まるなんてことは?」


 「ないでしょ」


 「それはないか」


 「とにかく、警察はあえてまかなかった、このアパートに麗華が火でも付けないように護衛してもらおうと思ってな」


 「そうか、警察まで利用するとは、さすが神様だな」


 「翔太が心配なの」


 「あ、ごめん、それは、俺が感謝しなきゃいけないな」


 「ううん、全部私と麗華の問題、あの男の子も巻き添えにしてしまった」


 「莉桜が誰に何を言われても、俺は莉桜の味方だから」肩を抱きしめる。


 「ありがとう、翔太」


 「どうする?行くか?」


 「うん」


 莉桜と翔太は要町駅に向かう。



 少し遅れて小森巡査部長が尾行を始める。長谷川警部にも連絡を入れた。

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