麗華

 黒木 麗華は莉桜と同じ高校に通っている。


 髪の毛はショートで、身長は153センチ。毎日学校に来ているが、周りの誰とも話す事もなく、授業だけを受けて、帰宅している。


 陰キャと言えばそれまでだが、麗華を馬鹿にしたりいじめたりした小学校や中学校のクラスメートが行方不明になったり事故死したりするという噂が流れており、麗華に近づく者は1人もいなかった。


 麗華が1-Aの小津源 莉桜を見つけたのは、4月の入学式の時だった。


 自分と同じ匂いがする。


 それでも、慎重な麗華は遠くから観察する。


 たしかに、誰とも話したりはしていない。


 クラスメートが話しかけても無視している。


 ただ、決定的に自分と違うところがあった。


 絶望していない。


 この世を呪うこともなく、全てを拒絶するでもなく、莉桜は前向きに生きている。


 そこから、莉桜に対して警戒しはじめた。相手もこちらのことはある程度分かっているはずだ。


 

 

 夏休みが終わり、秋になり、莉桜を観察していると全く別人になったような変化があった。


 体が女性っぽい色気を出しているし、なにより表情が明るい。


 その頃からか、莉桜の周りに自然と人垣ができるようになった。


 男子も女子も莉桜に話しかける。


 ある、男子生徒は明らかに莉桜に恋愛感情を持っている。



 つまらなかった。


 莉桜のことを見つけたのは自分が最初だし、普通の人間ごときが莉桜や私と対等であるはずがない。


 莉桜の周りの人をまずは排除しよう。




 麗華の呪詛が始まった。



 麗華の呪詛は、深夜2時丁度に、自宅の祭壇で行う。


 対象の写真を祭壇に掲げ、その「死」を強く念じる。


 念は、実際に起こりそうなことだ、例えば交通事故、例えば列車のホームからの転落。対象とした人間の精神力が弱ければ弱いほど、早く結果が訪れる。


 精神力が強い人間でも3か月儀式を行うことで、結果は訪れた。


 麗華が呪詛を始めて、2か月後、対象は自宅のマンションから飛び降りて死んだ。





 遺品からは莉桜に対するラブレターも発見され、失恋のショックで自殺したのかと噂が流れた。





 莉桜の周りから人が離れて行った。

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