俺が昼休みにスマホを見ると、莉桜からラインが届いていた。


 会社が終わったら目白まで来て欲しいとのことだ。


 二度目の挨拶じゃないだろうなと思いながら、「了解」と返しておいた。



 新宿三丁目にある会社から、地下鉄とJRを乗り継いで目白駅に着く。


 遠目からも分かる美少女が莉桜だ。


 こちらを見つけると、早足で近づいてくる。


 「お疲れ様、翔太」


 制服の莉桜とスーツ姿の俺、周りからはどう見えるだろうか。



 駅前の喫茶店に入る。


 「急に呼び出してどうした?」


 「ちょっと、まずいことがあって」


 「ん?珍しいな」


 「私は、人の世ではあやかしと言われる部類に入る、妖は妖を呼ぶ」


 「どういうことだ?他にも莉桜のような存在がいるというのか?」


 「まあ、そうなる」


 「問題ということは」


 「邪悪な存在だな、ただ、人にとっては害悪となるかもしれんが、そのような存在が誕生したのも、また、人によってだ」


 「交渉の余地はないのか?」


 「人やこの世に対する憎悪の感情しか持たない妖だ、話して分かる存在ではない」


 「どこにいるんだ?」


 「私の学校の違うクラスだな」


 「どんなやつだ?」


 「1-Cの黒木くろき 麗華れいか


 「今は何かしている痕跡はあるのか?」


 「恐らく、殺人、もう何人殺しているか、分からない」


 「警察に通報したらどうなんだ?」


 「警察ではどうしようもないだろう、呪詛によって人をあやめている」


 「何か手立てはないのか?」


 「検討中だ、翔太はこれを持っていて欲しい」


 「お札?」


 「そう、私が作った、あ、と、私の毛も入っている」莉桜が顔を真っ赤にしていた。


 「あ、うん」お札を財布に入れる。


 「私や翔太は狙われやすい、ただ、向こうも下手に動けば反撃があると分かっているだろうから、どうするか」


 「でも、莉桜は戦うつもりなんだろ?」


 「そうだな、私のクラスメートが亡くなってな、男子生徒だが、遺品から私へのラブレターが出てきたそうだ」


 「仇討ちか」



 その日のうちに、莉桜は自分の家と俺のアパートにも結界を張り巡らせた。

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