麗華は、同じクラスにいる莉桜の中学時代の同級生から聞き出して、莉桜の家は知っていた。目白でも一際大きなお屋敷なので探さないでもすぐに見つかった。


 何度か直接会おうとして出向いたことがある。


 それでも、門の前まで行くことすら出来ずに立ち去っていた。


 今回の事件で、莉桜はおそらく反撃してくるだろう、もしかしたら莉桜に殺されるかもしれない。


 そうなったら、それでもいいと麗華は思っていた。


 莉桜の家を通りの反対から見つめる。莉桜の両親はいるようだが、莉桜の気配がしない。


 隠れたのか、逃げたのか、反撃のための準備をしているのか。


 麗華は、近くにいる人にはより強い呪詛の力をかけられる。麗華が意識的に負のオーラを浴びせると、猫などは、その場で衰弱して死んでしまう。麗華は動物実験から人体実験まで行って、どれくらいのダメージを与えられるかなど計測していた。


 麗華の家の庭には、その実験の犠牲者の骨が埋められている。その、犠牲者の怨念の力も借りて、麗華はさらに呪詛の力を増している。



 小津源家には莉桜がいないと見極めると、麗華は一旦家に戻った。


 麗華の家は吉祥寺にある。


 両親ともに働いており、留守がちである。きょうだいはいない。


 両親は麗華と接するのを意識的に避けているようにも思える。


 食費などに困らないように麗華の通帳には、毎月高校生にしては大きな額が両親から入金されていた。



 部屋に帰ると、莉桜と一番仲良くしていた女子に連絡してみる。


 「もしもし」


 「麗華?」


 「うん、事件のことで」


 「え?事件、ああ・・・」


 「莉桜の家に行ったけど、いなかったんだよね」


 「知らないよ、あんな子、どうせ彼氏の家でしょ」


 「え?彼氏?」


 「そう、人を自殺にまで追い込んで、自分は彼氏といちゃいちゃしているんだから」


 「そうなんだ、どこに住んでいるの?彼氏さん」


 「ああ、たしか要町って言っていたような」


 「そう、ありがとう」



 

 寒波が来ている東京。麗華はダッフルコートを着て吉祥寺から要町まで向かった。




 要町駅は地下鉄の駅だから、地上に比べると暖かいがそれでも、震えるような寒さだ。


 麗華は地下鉄の駅で、ただ、莉桜の姿を求めて立っていた。

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