捜査

 莉桜が小津源家を出た後、莉桜の遥か後方から二人の人物が尾行していた。


 一人は事情聴取に出向いた長谷川警部、もう一人はまだ若い小森巡査部長。


 ある程度まで近づくと、莉桜は振り返ってこちらを見る。


 「すげえな、あの姉ちゃん」小森は軽口を叩く。


 長谷川は一度顔を合わせているため、小森のさらに後ろから尾行している。


 キャリーバックを持っているところからして、どこかに泊まるということだろう。


 女子高生が泊まれるところなど、そうそうあるものではないだろうが。


 山手線に乗り、池袋方面へ向かう莉桜。


 ぎりぎり見逃さないで着いていく2人。


 池袋で副都心線に乗り換える、莉桜。


 要町駅で降りた。


 一つ後ろの車両から2人の刑事も降りる。




 駅から歩いて15分、莉桜がアパートの中に入って行く。


 その場所を確認すると、長谷川警部は小森巡査部長に見張らせて、一度署に戻ると言い始めた。


 この年の12月、東京は寒波が来ていて凍える寒さだった。


 長谷川が署に帰って課長に報告をしていると小森から連絡があった。莉桜の入って行ったアパートに若い男性が入っていったということだ。


 男性は一般人のようで、20代と見られる、中肉中背、会社帰りの模様とのことだ。


 「単なる自殺じゃないのか?長谷川さん」年下の課長は長谷川に対してもずけずけと物を言ってくる。


 「いや、小津源 莉桜っていう女の子は何か知っているはずです、これは、殺人か、それに準ずる何かです」


 「何かって言っても、シャーロックホームズみたいな謎解きをするつもりじゃないだろうな?」


 「いえ、そういうわけでは」


 「長谷川さんも小森も貴重な戦力だ、自殺が濃厚なこの件にいつまでも貼り付けていられない、時間は一週間、いいですか?」


 「了解です」内心舌打ちをしながら長谷川警部は答える。

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