第6話
「えっと受け取り評価っと」
スマホのロックを外してアプリを開く。
そうすれば通知を知らせるマークには運営から、受け取ったら受け取り申請を、みたいな文があり正にその通りだと思いながらタップを進めていく。
『とてもきれいな梱包でした。 機会があればよろしくお願いします』
一番いい評価をつけてコメントはこんな感じ。
『受け取り評価が遅れて申し訳ありません』
評価の送信の後は軽く取引者間のメッセージルームで一言。
こうやって連絡を入れておけば、そこまで角は立たないだろう。
ついでにメッセージアプリの『LiOn(リオン)』を開けば今日のメンツからメッセージが届いていた。
「うし、下で返信するか」
別段、今ここで返信するほど急務でもない。
メッセージを軽く見るだけでも、今日のお礼みたいな感じだ。
下で月渚も待っていることだから、充電も満タンになった相棒をポケットにしまおうとしたとき、
「ん?」
突如鳴り響いた通知音。
この通知音は、何の通知だ。
そう思ってスマホを開けば、
『あなたの出品された商品が購入されました!!』
「は!?」
そんな通知がスマホの画面に表示された。
「え、マジ?」
この瞬間に、さっきまで、今の今まで忘れていた今日のおふざけを思い出した。
「いや、洋一か?」
あんなおふざけが売れるわけがない。
それこそ知っている洋一がふざけて買ったのかもしれない。
そう思って通知をタップし、再度アプリを開く。
ただ、なんとも言えない違和感はあった。
購入者の名前が載ってる欄を見ても、どう考えても洋一という感じではない。
『セイナ』
アイコンの画像も特に何もない。
プロフィールに紹介文も、出品物も何もない。
そんな購入者だった。
「(完璧、いたずらかな?)」
そう思ってスマホをしまいこもうとしたとき、
「え?」
通知音が一つ。
急いでもう一度アプリを起こしせば、
『樫尾翔君。 あなたを買わせてもらいました』
そんな一文が送られてきた。
「ちょっとつばさぁ? いつまで上にいるの!」
「あ、もうすぐ戻るから」
「早くしてよぉ」
一階から聞こえてくる月渚の少し苛立ったようなそんな声。
おそらく全然帰ってこないからしびれを切らしたのだろうが、
「.......まじ?」
返事はしたものの、俺はいまだにスマホを握りしめて立ち尽くしていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます