五条星那と634日
紫煙
プロローグ
一時の過ちというのは、絶対に誰もが一度はやってしまうもので、それでいて絶対的に厄介になるものだろう。
学生でいえばちょっと調子に乗って先生を馬鹿にしてたらチクられたり、家庭で言えば家族に内緒で買ったものがひょんなことからバレてしまって厄介なことになったり、偶々鼻歌を口ずさんでいたときにいきなり人が現れたりと様々だ。
それをみんながみんな、『そんなこともあったなぁ』と黄昏たように思い出す程度で済むのなら大きな問題にはならないのかもしれないが、そうやって割り切れるようになるまでは長い長い時間を要するのは言うまでもないだろう。
要は一時の過ちというものは間違いなく、尾を引くのだ。
なら最初からそうしないように注意すればいい。
第三者から見ればその一言に尽きるかもしれないが、そうはいかないから一時の過ちというのだ。
晩御飯はラーメンにしようとしたけど追加で餃子も頼んじゃった。
なんていうことだって会計が足りなくなったり具合が悪くなれば過ちにはなるが、頼む時点で気付かないのだからしょうがない。
つまりはどれもが一見避けられそうな事象なのに、避けられない運命のいたずらというよりかは因果応報というべきなのか、まぁ一時の過ちというのそんなものだ。
ここまで長々と語って何が言いたいかといえば、
「えっと、
「ええそうね。
ちょっとおしゃれなカフェのボックス席で、俺の疑問というか一周回って恐怖ともいえるような問いかけに、にこりと微笑んで見せる一人の女性。
この女性と会うことになったこと自体が一時の過ちが生み出したものだからだ。
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