俺は世界を零にする。　-離解者・異能捜査譚-

　潜在的精神の発現――通称＜想起（メノン）＞。
　160年前を境に突如として世界中に広がった人類のみに認められる『異能』の力。
　
　この＜想起＞を持つ者――想起者（メノシアン）はその特異な能力で、医療・軍事・産業など広範な分野の発展に寄与してきた。
　世論は強大な力を持つ想起者という存在に忌避感を覚えながらも、想起者を取り締まる治安維持機関『異能対策局』の活躍により、緩やかな調和が訪れた。
　
　しかし、３年前の惨劇が全てを狂わせる。
　
　史上最悪の大規模異能テロ「ドミネイター・アグレッション」。

　主人公・天園真人（あまぞのまなと）にとって、元・相棒——望月白宜（もちづきはくの）を奪った忌まわしき悲劇。
　１万人を超える死傷者を生み出した惨劇は、想起者たちへの風当たりを厳しいものとし…続きを読む