エピローグ

92

【ニ千十九年七月ニ十八日】


 大好きな明日香君へ。


 今日は大学の仲間と湘南に行きました。

 浜辺で食べたバーベキューはほっぺたが落ちるくらい美味しかったね。


 浜で打ち上げた花火も幻想的でとても綺麗だった。


 花火のあと、夜空に流れ星が見えて……。みんなが一斉に瞼を閉じて願い事をした。


 明日香君の願い事は何だったのかな?


 私の願い事はね……。

 あっ、これはまだ明日香君には秘密。


 その願いが叶ったら、明日香君に教えてあげるね。


 ねえ、明日香君。

 一年前、明日香君が私に話してくれたことを覚えてる?


 明日香君は私に、『俺、リハビリ頑張るよ。また歩けるようになりたい。記憶はすぐに忘れてしまうけど、希ちゃんと一緒に海に行って砂浜を歩きたいし、色々な場所に行って、たくさんのものを見たい』こう力強く話してくれたね。


 あれから一年、私たちは色々な場所にみんなで行ったね。たくさんのものを見て触れて、その光景も指先の感触も、心にしっかりと刻みつけた。


 明日香君が今日……。

 白い砂浜を踏みしめて、一歩ずつ歩いてくれたことも、私はきっと生涯忘れないでしょう。


 涙が溢れて止まらないほど……。

 私は嬉しかった……。


 明日香君の記憶も、少しずつではあるけれど回復している。でも無理はしないで。


 明日香君の記憶は……。

 私が責任を持ってこの日記帳に保管するから。


 ――あなたの瞳に映る世界は……。


 私の瞳に映る世界。


 これから先も、ずっと同じ景色を見ていたい。


 そして何度でも言うの。

 明日香君が大好きだよって。



 


 


 

 ―THE END―

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

I like your smile.  ~これから歩む未来……。この恋は運命ではなく、小さな奇跡~ ayane @secret-A1

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ