主人公の修が気の進まない合コンで出会ったのは、高飛車でやけに交戦的な美梨。どういうわけか一夜を共にすることになった挙句、トラウマを植え付けるような鮮烈な台詞をお見舞いされる。
時空を駆けるタクシーについては、個人的にはガルウィングドア搭載のデロリアン的な仕様を想像してしまう(イメージをぶち壊していたらすみません)が、乗り込んだ二人(+1名)が行き着いたのは過去ではなく、何とも色鮮やかでキラキラした夢のような世界だった。もしかすると、彼岸とはそのような場所なのかもしれないが。
まるで元いた世界の人物相関図を投影したようなその世界では、修は修としての自我を保ちながら、美梨にそっくりな侯爵令嬢の側にいて別人として認識されている。その公爵令嬢の我儘っぷりに翻弄されながらも、その世界での恋人や友人とのコミュニケーションを通して自身の在り方について思索を巡らせる。
そして、公爵令嬢もまた、自身では己の人生を選ぶことをができずに政略結婚に向かう身なのだと、気づいた時には……
展開を重ねるごとに世界が厚みを獲得し、人間って多面体なんだな(ウラオモテのみならず、それ以上ありそう)と思わせる構成が秀逸です。
いつまでも引きずり続ける三十点は、主人公が自らの人生を切り拓く糸口になる、かもしれません。
文句なしの★3つです!!
政略結婚をさせられそうになっていた社長令嬢が、親への反抗心から、合コンで知り合った、しかも彼女がいる男性と一夜の過ちを犯してしまいます。
しかし、たまたまラブホテルから出たタクシーが事故に遭い、男性は見知らぬ異世界に飛ばされ、ある公爵令嬢の執事として生まれ変わりますが、そこで出会う人達は、現実世界の人物に瓜二つだった。
そんな、かなり序盤からジェットコースター並の激しい展開で、物語は幕開けます。
序盤の一夜の過ちは、決して褒められるものではありません。が、しかし、彼女が現実世界で、男性が異世界で、各々の立場を理解しながら、時には罰が当たったとも言えるような辛酸を嘗めながら、成長していく姿が素晴らしいです。
そして、それぞれの想いとは……?
途中から異世界中心の話になるので、どう着地するのかなと思いながら、拝読していたのですが、しっかり綺麗にまとめるところは作者様の構成力の力量に思わず感心させられます★
と、思いきや終盤にも驚きの事実が隠されていたりと、最初から最後まで、読者をきちんと楽しませてくれます!
作者様の得意とする、どこか非現実的な世界観をはらんだ恋愛ストーリーは、この作品でもしっかり魅せてくれます!
本当に面白かったです! めちゃめちゃオススメします♪♪
合コンで出会った美梨という女性と、一夜の過ちを犯した主人公の修。そんな修と美梨が乗るタクシーが事故を起こしてしまう。
そして、修が次に目覚めた時。
そこは見覚えのない異世界だった。しかも修は、美梨に似た公爵令嬢の執事で……
現実世界とよく似た人物と人間関係がある異世界に来てしまい戸惑う主人公。
戸惑いつつも、公爵令嬢や職場の恋人と交流を深めます。その中で、甘い恋、苦い恋、切ない別れなど、色々な問題を経験します。
ネタバレになるので詳しくは言えませんが、とんでもない問題が修、公爵令嬢、美梨の身に起こるんです。
「これ、どうなっちゃうの!?」とハラハラする展開の連続で、次のエピソードを読まずにはいれらませんでした。
なかなか他ではお目にかかれないオリジナリティあふれる異世界恋愛譚です☆
ちなみに、私の推しキャラは『パープル王国の王太子殿下』です♪
つまんない男だね。
同僚に誘われ参加することになった合コンで、なんとも気に入らない女性、美梨と出会った修。
しかしなりゆきと酒の勢いが原因で、気がついた時には彼女と一夜を共に過ごしていました。
もちろん、シラフだった頃の修にそんな気は全くなかったし、そもそも彼女だっています。おまけに、美梨から告げられた体験の点数は「三十点」。あらゆる面で、心がボロボロになってしまいました。
しかし、悲劇はそれだけに終わりません。そんな話をしている最中、なんと2人の乗ったタクシーが事故に。
そしてここから話は一転。目を覚ました修がいたのは、あの世でも病院のベッドでもなく、異世界でした。
そこでは、修はなぜか公爵家の執事レイモンドとして生きていたことになっていて、しかもその家のお嬢様メイサは、美梨そっくり。
しかも、レイモンドには恋人がいるにも関わらず、メイサと一夜を共にしてしまったことまで一緒です。
もちろん、異世界と言えど恋人以外とそんな関係になるのはアウト。しかもメイサには王太子殿下との縁談の話も進んでいるので、元の世界よりもまずいかも。
こんな驚きの設定ですが、恋愛描写はとても繊細で、いけないとわかっていながら徐々に相手に惹かれていく過程が、とても説得力を持って書かれています。
だからこそ、公にできない恋だというのにやめろとも言えないジレンマがあり、どうなってしまうのか、結末を見届けずにはいられない。
二つの世界を跨いだ想いは、いったいどんな決着を迎えるのでしょう。
彼女持ちにもかかわらず、付き合いで合コンに参加させられた会社員の修。
そこで出会ったのは、相性最悪のいけ好かないお嬢様、美梨でした。
しかし相性の悪い二人が、何だかんだ言いながらケンカップルになるお話かというと、そうではありません。
ここでビックリ展開。何と二人が乗っていたタクシーが事故に遭って、修は異世界転移してしまったのです。
修が異世界転移したということは、一緒に事故に遭った美梨も転移してきた? ところが美梨そっくりの女性はいたのですが、メイサという名前でどうにも話が噛み合わない。
それどころかこの異世界、修の友達や恋人のそっくりさん、はては事故に遭ったタクシーの運転手さんまでいて、混乱しそう。
早く元の世界に帰って、本当の恋人と会いたいのに。
読んでいると、この不思議な世界観がくせになります。
そして話の面白さを左右するのが美梨。そして美梨と瓜二つのお嬢様、メイサです。
二人とも望まぬ結婚をさせられそうでその事を嘆いているのですが、心の拠り所として修を求めてきます。
しかし、修には恋人がいる。それに婚約者がいる女性と関係を持つなんて許されない。そう頭では分かっているのに、全然タイプじゃなく相性最悪のはずなのに、修の中で彼女の存在が大きくなっていく。
この危ない恋はどうなるのか、ハラハラさせられます。
一言で言えば「不思議な」恋愛小説です。うまく表現することはできないのですが「恋愛対象」が複数いるのです。しかも、ハーレム的な仕掛けでないのに「複数」いるのです。
とある合コンから、そんな不思議な恋愛話ははじまるのですが、「ちょっと」、いや、「かなり」幸せじゃない形の恋愛話から始まって、そのトラウマを克服するというか、そんな感じの物語なのですが、仕掛けが隠されていそうな雰囲気があります。
また、私がレビューを書いている時点では、物語は多分序盤だと思うのですが、これ、もしかしたら、後半では「複数の恋愛対象」を1つにまとめ上げるようなストーリーになるのでは?と期待させる「大きな驚き」がありそうな小説になります。
私が思うに「ミステリー的な要素」が含まれていく「不思議な恋愛小説」になっていくと思うので、こうご期待!って感じの大作だと思います!