濃度

 とにかく濃ゆい物語だった。あくまで現代社会が主軸ではあるが、どこか王朝文学を連想させる内容であり読みごたえである。

 モテるにはモテるが優柔不断な面のある主人公が歩む道中は、時に苦笑を誘い時にハッとさせられる。まことに人間臭い男であり、それだけにこの上なく現実味がある。

 そして、ヒロインの味わう葛藤こそが本作に必要不可欠な栄養素であり旨味といえよう。

 必読本作。

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