第六話「変えたい自分」
「……え、本当! 」
みどりは飛び跳ねその短い髪を上下に揺らした。よっぽど嬉しかったのだろうか。といっても、僕にはよくわからないが。
「でも、ルールもよくわかってないので教えてもらえると……」
「うん!なんっでも聞いて!……でも良かった。何だかずっと暗い感じだったから」
「ほんとだよ、お前俺が話しかけた時、すげえクールなやつかと思ったぜ」
いつものことだと勘違いしていた。いつからだろうか。仲間に恵まれないと自分で視野を狭めていたのは。
「あ、もう掃除の時間終わっちゃった。じゃあ、また後でー! 」
「あいつ、いつもあんな感じで、はしゃぎっぱなしだけど案外繊細で気を使ってるんだ」
廊下を走るみどりを見て、いつもと雰囲気の違う石墨がそこにいた。
「ひょっとして、好きなのか」
「ちっげえよ。……ただ心配なんだよ。すぐに無理するから。あいつ姉妹兄弟が居て、家の大黒柱をあの歳でやってるんだ、この部活も金銭的な問題で参加してる。なあ、お前はなんで参加するんだ」
「僕は、自分を殺してきた。でもここでなら本当の、ありのままが受け入れてもらえる。そんな気がした。多少強引だと感じるときもあったけど。」
魔法なんて無ければいい、そう思っていた自分を今、変えるんだ。
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