第三十話「本心」
少年が小さくなっていきやがて見えなくなったところで人間を背に乗せたドラゴンが話し始める。
「よいのか仮の主よ、あれでは暴君にしか見えないであろう」
もちろんこの声も聞こえないし、僕とドラゴンの姿も誰にも見えない。
「リベラ、これは僕の落とし前なんだ。魔法はいずれ世界を覆す。それはわかっていたけど、こんな形では危険すぎる。それに、これでは今までの戦いの意味がまるで無いみたいじゃないか」
「そうか、まあよい。それよりも、付け足すようで悪いが少しぎこちなかったぞ」
「余計なお世話だっ!……………でも、悪いな付き合わせて」
そう、俺の契約龍はこのドラゴンとは別だ。このドラゴンは…………大切なひとの契約龍だった。
「私のかわいい娘を守るためとあらばこれぐらい安いものよ」
「行こう、まだ魔法に関連するものが残っている」
これ以上は何もさせない。大切なものを奪われるのも、誰かが傷つくのを見るのももう沢山だ。
「無理はするでないぞ。あくまでも不当な扱いを受けるものを開放するのが目的なのだからな」
「――ッ誰だ!」
気のせいか。誰かに見られているような感覚があったのだが。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます