最終回「選択肢」
「ここは夢か?…………うん、あれは」
霧のかかった場所で、薄暗い光に照らされた何かがそこにいる。
「やあ、僕はプロト・イプ。人の手によって作られた人口のドラゴン。少し話を聞いてくれないかい」
「ドラゴン?」
「そうさ。僕は七つ存在する龍の一つ。でも、イレギュラーなドラゴン。僕の主は賢い小学五年生だった。僕の主はそれから他の六匹の龍の契約者をまとめ、大地を太平洋に作り、そして条約を世界と結んだ。それが一ノ瀬未来の生まれ故郷の島だよ」
「君もその島から?」
「そうとも。今、島から僕は君に語りかけている。一つ問いたい。君は普通で居たいかい?君にとってまだ、魔法は普通じゃないかな」
「僕は……」
たった数ヶ月だったけど、僕は同じ魔法使いの隼人やみどり、心斗。
そして琴吹と出会って、変わった。
このしっかりとした記憶のある数ヶ月。僕は普通を壊した。
「僕にとって魔法は普通だよ」
「……そうか。ならば、僕と契約してくれないかい?」
「契約?一ノ瀬みたいにか」
「そうだ。僕の力を君に託したい。その力で、すべてを救ってくれ」
「分かった」
「それじゃあ、よろしく主さん」
「君と話すのは初めてだね。僕は□□□。あれ、うまく言えないや。とりあえず君には僕が編み出した技を伝えるから、これを使ってほしい」
「待ってくれ――」
「君はきっと誰よりも魔法について理解してくれると思うそれじゃあ、よろしく」
「――あきら起きてっ」
僕は起き上がった。
「びっくりした。いきなり倒れちゃうんだもん」
「今、一ノ瀬が庇ってくれているんだ」
みどりと心斗が顔を並べている。僕は一体今まで何を。
「詳しい経緯はあとで――ってなになになに」
「ごめん、手を握らせてほしい」
――いいかい。まずは、手を握るんだ。
そして次に相手と自分を繋ぐなにかを思い浮かべる。
「みどり、僕達は友達だけど、最初は全然僕が心を開かずに悪かった」
「いきなりなんなの、説明は?」
「僕は君を知りたい。君は?」
「そりゃ、もっと知りたいけど」
「ありがとう」
その瞬間、僕達の手が光出し、僕は一つの力を得る。その後も皆と同じことを繰り返す。そして、僕はあることを伝えた。
「僕は、皆から記憶を消そうと思う」
「「えぇ!」」
「それってどうゆう」「まあまあ」
「魔法使いという存在や、龍という存在が世界に知られてしまったことが僕らの日常を変えた。なら魔法なんて初めから当たり前だったことにしようと思う」
「どうなるの?」
「皆が魔法使いになって、大規模な戦争はなくなると思う」
「上手くいく?」
「ああ。きっと上手くいくさ」
「一ノ瀬はどうだ?」
「僕の撒いた種だ。僕が片付けたい。そう言いたいところだが、プロト・イプのやることなら仕方がない」
「じゃあ、皆が目を覚ます時はもう、違う世界だよ」
「ちょっとまって」
「どうした琴吹」
「今までの記憶はどうなるの?」
「大丈夫、なくならないよ」
安堵のため息をつく琴吹。
「そう、だから皆、おやすみ――――今までの世界は夢だったんだ」
「今日から転校してきた島崎章です。僕の魔法は皆の記憶を繋ぐ魔法です」
この作品について、僕は満足しています。見てくださった方に感謝を捧げたいです。
また、続けると言ったのに終わらせてしまったことは謝罪します。ただ、僕の次なる作品に期待していただけたらと思います。
それでは、よりよい作品でまた会いましょう。
魔法使いの夜 ~転校した当日から奇妙な部活に入る~ 五郎猫さち @rakiwo
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