第3話 恋蛍

※舞台は昭和初期の田舎町をイメージしてください。

2人の関係はご想像にお任せします。


※アドリブ不可。方言のみ可。

※SEはおまかせします。


✼••┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈••✼


男 今夜、見せたいものがあるので、つきあってもらってもいいですか?


女 (不思議そうに)見せたいもの…?


男 見てのお楽しみです!じゃ、また6時に迎えに来ますね!


ーここまで回想ー



男 そう遠くないので、安心してください。


女 はい。勇さんを信頼してますから。(間)

あの…この前はありがとうございました。楽しかったです。


男 それなら良かった!こちらこそ、ありがとうございました。


女 あの…猿回し、初めて観ました!


男 僕もですよ!一緒に観れて良かった!


女 お猿さん、かわいかったです(笑)

ふふ。あのお猿さん、なんだか勇さんに似てませんでした?(笑)


男 えぇ?!似てましたか?なんだか恥ずかしいなぁ(笑)


男・女 (二人で笑う)


(間)


男 もうすぐ着きますよ。川のそばなので、足元、気をつけてくださいね。


女 川…?はい…。


(間)


男 着きました!この辺で見れるはず…

ふっ(ちょうちんの火を吹き消す)

あ!いた!あそこ…!


女 え…?


男 ほら、あそこをよく見て。


女 あ…!蛍? 光った!わぁ〜、すごい!

あ!見て!こっちにも!綺麗!


男 今日はたくさん出てますね。運が良い。


女 え…?


男 天候によっては見れないんですよ。蛍は蒸し暑くて風のない日に飛ぶんです。それも月の出ていない闇夜に。昼間は風があったから心配でしたが、んで良かった。


女 そうなんですね!勇さん、物知り!


男 蛍ってどうして光るか知ってますか?


女 いえ…どうしてなんですか?


男 オスが点灯しながら飛ぶのは、メスへの求愛なんですよ。

メスは葉の上で光って居場所を知らせているんです。


女 すごい!神秘的!


男 ですよね!短い命だから、必死なのかもしれませんね。


女 そうかもしれませんね。

あ…そういえば、この前、神様に、何をお願いしたんですか?


男 あ…いや…その…キミさんは?


女 私は秘密です(笑)


男 ずるいな〜(笑)


女 うふふ(笑)


男 あの…今日ここに誘ったのは、実は伝えたいことがあって…


女 え…?


男 実は先日の願い事は…あの…良かったら僕と…おつきあいしていただけませんか?


女 (ちょっと驚きながら)え?!(間)

はい…。私なんかでよろしければ、よろしくお願いします。


男 良かった!キミさんじゃなきゃ誘ってません。


女 ありがとうございます。あの…びっくりして、心臓が止まりそうです。


男 手、繋いでますから、安心してください。


女 はい…。

あの…私もずっと前から、勇さんのこと…好きでした…。


男 来年もまた、蛍、見に来ましょうね。再来年も、その次の年も。


女 はい…!


男 蛍の光が、2人を優しく包んでいた。


✼••┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈••✼

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