第5話

しばらくすると重厚そうな扉のまえで止まる。

ぶつぶつと言っていたアルフェルトがその扉の前にくると背を伸ばしてそこの前にいる兵士に声をかける。

「聖女様お連れした。陛下への御拝謁を」

扉のまえに居た兵士はそれを聞くと短く返事をして

左右に分かれて扉を開け始める。

扉がが開き始めると中からは言い合う声が聞こえてくる。

「貴方はなにをしたのかわかっているのですか?

あのようなはっきりしない本の陣を使い禁止されている召喚術を施行するなど!」

プラチナブロンドの美人がさっきの生意気な子供を睨みつけて怒鳴っている。

そしてその隣には王座に座り額に手を当てて溜息をつきながら俯いている人が壇上に居た。

さっきのハゲとメタボは一段下で縄で拘束されて

頭をゆかにつけてひたすら土下座している。

「俺はこの国の為を思ってっ」

「黙りなさい!!まだ私の言っている意味がわからないのですか??それにお前たちもです。

王族と言えどエディアールはまだ13才の子供 そのような子供の言う事を嗜めるどころか一緒になって

召喚を行うなど愚かにも程がある」

常識人だ・・ここに来てやっと常識人みたよ・・

未だに車椅子の車輪を見てはぶつぶつ言っている残念イケメンをじっと見ると視線に気づいたのかハッとして頭を抱えている相手とこっちなど見えてないかのように三人を締め上げている美人に声をかける。

「父上、イシュタール 聖女様をお連れいたしました。」

「あぁ アルフェルト 聖女様初めてお目にかかります。私はエルグラードの国の王でギルベルトと

申します。この度は愚息がいたしました事大変申し訳ございません」

椅子から立ち上がり壇上から降りると片膝をついて軽く頭を下げる。

それを見るとさっきまで怒られていた少年が大きな声を上げる

「父上!!そんなニセモノに頭を下げる必要なんてありませんっっ おい お前父上に対して不敬だぞ

床に座って拝謁しろよ!」

カチーンと頭の中でコング鳴った気がした

足が動かないからこれに乗ってるんですが??

ニセモノってわたし 一言も自分が聖女ですなんて言ったこともないし RPGみたく移転しますかしませんか?の表示の選択をした覚えもない。

「拉致犯の親にどうして私が頭下げないとならないのよ。ニセモノ、ニセモノって私 一回でも

聖女だなんていった覚えないけど?ニセモノで結構なんでさっさと元のところに戻してもらえます?」

ギャンいう子供に大人気ないとは思うけど両手を上に軽く開いてはぁ?と小馬鹿にしながら言う。

「馬鹿かよ 召喚術がそうほいほい使えるわけないだろ!折角貯めた魔力だったのにお前のせいで!」

いい終わる前にうぎゃって声がする。

声の方やを見ると少年の頭に美人さんの拳骨が落ちていた。

「エディアール 父上が頭を下げておられるのは誰のせいですか?彼女のご意志なくこの国に呼びつけたのは誰なのですか?」

「俺は国のためを思ってっっ そうしたらあんな不具のニセモノがっ」

その瞬間 もう一度ゴンっという音とともに拳骨が

頭に落ちる。

「私の言っている事が理解できないようですね

もう一度よく考えなさい」

頭を押さえてうずくまっている少年に冷たくそういうと壇上から降りてきて頭を下げている父親のとなりに来て同じように片膝をついて頭を下げ始める

「第二王子のイシュタールと申します。この度は愚弟が大変失礼をいたしました。」

二人して頭をさけると微動だにしない。

この様子といい、さっきのほいほい使えないという単語といい嫌な予感がする。

「あの 謝罪よりとっとと帰らせていただきたい

んですが・・」

すると父王の方が頭をあげて言いにくそうにこっちをみる。

「申し訳ないが帰還の魔術は存在してないのです。

あの召喚術も何百年前に一度使われたというくらいのものでして・・」

「はぁ?それじゃ帰れないって事?」

唖然としながら聞くと再びガバっと頭を下げる

「申し訳ないっっ生活やご希望は出来るだけご要望にお応えします故 どうかお許しを」

「冗談じゃないわよ はぁ?人の勝手に拉致っておいてニセモノだの不具だの散々罵った本人は一言も謝らないどころか開き直ってるってのに許せですって!!」

親なら息子の首根っこ掴んで頭ぐらい下げさせろ!

くらい言ってやろうかと思っていると後ろからキャーという悲鳴がする

驚いてうしろを見ると車椅子を押してくれていたステラちゃんが宙に浮いている。

「な・・何??」

「ひいっっ 身体がっ」

手が後ろに拘束されて同じように足が反り返り始める

「な・・何??これ??」

「いっ痛いっっい・・きゃあぁぁぁ」

いきなりの現象に驚いていると宙に浮いたまま拘束された状態で後ろの壁にへと叩きつけられて床にはと落ちてくる

「エディアール!!」

立ち上がりやべっと言わんばかりの顔をしている弟のもとにイシュタールは行くと平手で頰を張る

「あ・・兄上・・」

「お前 今何をしようとしたのですか?」

さっきの説教とは違い蔑んだような目と冷たい声で

殴った相手をみる。

初めて見た兄の侮蔑の眼差しにエディアールは青くなりながらガタガタと震えはじめるのだった。

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