第10話
「へ??」
『すぐに収め お側へと戻ります』
それだけいうと空いていた窓をすり抜けるように
でていく。
「聖女様だ・・竜を従える・・」
「第3王子様は聖女さまを召喚されたっっ」
「聖女様が降臨されたっっ」
あまりの手のひら返しに笑いたくなってくる。
さっきまでなんて言ってたんですかね?って
側にいて 呆然としているステラちゃんを突き飛ばし駆け寄ってくる人にイラっとする。
「ステラちゃん」
突き飛ばされて尻もちをついたのをみて突き飛ばしてそばに寄ってきて相手を睨む。
「ちょっと 女の子突き飛ばしておいて謝りもしないわけ?」
「は?獣人ですよ ここにいる資格もないものです
あんなものに触ったなんて 衛兵 その獣人を連れとだして処分しておけ」
呆然なままのステラを引きずりだそうとするのを
待ちなさいよっという前に美鈴と名乗った妖精が
ヒラヒラと衛兵に近づくと顎に見事な膝蹴りを
食らわせ昏倒させる。
『ちょっと 貴女 主様から留守の間は御子様をお守りするよう言われているのにその態度はなんですの??しっかりなさいませっ」
小さな手でパチンーと頰を叩く。小さい紅葉のようなあとがついているのをみて可愛い跡だけどあれは
痛そうと思っていると側にいたふたりがガクガクしている
『お お姉様が手加減??』
『きっとあとでわたし達で鬱憤ばらし??』
可愛い子にも闇があるかと まぁあの膝蹴りで
大人しいだけの子じゃないとは思うけどと思いながらガクガクしている二人に声をかける。
『そうしないように紫紺にお願いするから私の車椅子押してステラちゃんのとこに連れていってもらえないかな?』
お願いっと言うとそれを聞くた二人は驚いて ひぃぃと悲鳴をあげる。
『『御子様っっ 我らにお願いだなんてっおそれ多い事にございますっ 命じてくださるだけでも誉れになるのですよっっ』』
ひぃぃと言いながら周りをクルクルと周りはじめる
そんな中 兄に押さえられ諫められていたはずのエディアールが近づいてきて大声を出しながら言う
「おいっっ聖女として認めてやるっっ これから国の為に役立ちますと誓えっ」
こいつ何様ならつもりなんだ? 勝手に呼んで
不具だと罵って殺そうとした癖に認めてやると言う
上から目線での言葉。
相手は子供 子供と思ってはいたが流石に我慢にも限界がある。
そして周りのいい考えですっ さすが魔道の天才であられるなどと諌めない大人たちや 発言を止めようとしない父親 止めようとして反対に押し留められている二人の兄をみて溜息まじりに言う
『花梨ちゃん 木蓮ちゃん 解剖とかち割りは駄目だけだどぶん殴っていいよ このくそガキ』
「はぁ?誘拐拉致しといて何言ってるの?ここおかしいんじゃない?」
自分の頭をツンツンとつつきながら馬鹿じゃないの?と付け足して言うと挑発にのったのか持っていた杖を振り上げる。
キツく目を閉じて衝撃に備えたがいつまでたってもそれはこない
恐る恐る目を開けると目の前にはステラがいて代わりに殴られていた。
「ステラちゃんっ血がっっ」
「平気ですっっ慣れてますし さっきの美鈴様のビンタより痛くないです」
あのちびっ子のビンタどんだけ凄いんだ??と深まる謎に浸りたいと思いつつもどけっと言って殴りつづけているのをみて辞めてと言おうとする美鈴に口を抑えられる。
『なりません。ならばきっと誓えと魔術による誓いをさせられてしまいまする』
『でもっあんなに殴られて』
殴られても一歩も引かないステラを見ると美鈴と名乗った妖精はステラの周りをクルクルと周り出す。
すると血だらけだった傷や赤く腫れあがって来ていた頰が癒されていく。
「美鈴様っ」
妖精の名前を言うと周りはガヤガヤし始める。
「妖精の名を・・・」
「あの獣人 妖精の祝福を受けたのか?」
「いや、聖女様の祝福だ 聖女様の祝福を受ければ
妖精と対話が」
何言ってんだ?と思っていると木蓮がこそっと教えてくれる。
妖精や精霊、竜の言葉は学んでも話せるものではなく、その相手から祝福を受けて初めて話せ、彼らの使う文字も理解できるようになる。
魔道士にとってはそれは一生をかけても得たいスキルでそのスキルを持った者は国から篤く保護 援助を受けるくらいのものだと。
「私達は気まぐれですし 好みも偏ってますから
受けるニンゲンなんて滅多といないんですよー」
「名前も教えてやることないですー あんなやつらに呼ばれるとゾッとしますー」
花梨がそういいながら辺りを見回す。
「名前呼ばれるの嫌いなのね ごめんね 紫紺が言っただけで私が教えてもらったわけでもな」
いい終わる前にふたりはぶんぶんと首を横に振って
慌てたよう目の前で行ったり来たりを始める。
『御子様は違いますーーー』
『姉様から紹介は主様がお戻りになってからと言われてだけなのですーーー』
姉様は怒ると怖いのですーと耳元で囁かれると
少し笑ってうなづく。
それを見ると二人はほっとした顔をする。
そんな様子を見てエディアールはさらに怒りを募らせる。自分が召喚してやったのにこんな獣人に祝福を与えて 自分には何も授けないし敬う事もしない
自分が欲しいものを手に入れた獣人
悔しいと思い振り上げた杖に力をこめて殴りつけようとするが杖が何かに絡まっているかのように重くなり動かせない。
キラキラと光るそれは光を落として姿を見せる。
金の髪に淡い紫色の瞳 そして背中には6枚の羽がある上級と呼ばれる妖精だった。
「御子様 こんな国 お捨てになれば良いのですわ 主様が戻られましたらそう申しましょう。竜をすべて従えられる御子様であればどの国でもこのような扱いは受けませぬわ まして御子様のメイドを打ち据えるなどという暴挙を犯すものも居ないでしょうし」
にっこりと笑いながらポンと手を叩いて王の間に響き渡るよう言うと言うと今まで獣人だからといって見ていただけの人々はさっき第三王子を讃えるようなことを言った相手を冷たくみはじめる。
「おいっっ守護竜様が国から出て行かれたらどうなるか分かってるのか??」
「お前らが王子を焚きつけたんだ」
指を刺されて言われるとその相手はたじろきながらも車椅子の足元にきてガバッと土下座しはじめる。
「聖女様 そんな獣人よりも私の方がお役に立てまする。剣には自信があります。どうか私に祝福を」
足元にすがりながらそう言ってくるのを見ると自然に顔が引きつってくる。
さっきまで不具だ 殺せとか言ってたくせに 今だってステラが殴られているのを笑いながら見てた癖に何言ってるんだ
そんな奴 信用すると思っているのか?と侮蔑したように相手を見ていると拘束されていた二人の王子はそれを解いてこちらに向かってくる。
そして足元にすがっている青年の首元を掴むと横に放り投げる。
「聖女様 失礼をしました」
イシュタールは投げ飛ばした事など無かったかのように優雅に礼をすると片膝をついて跪く。
アルフェルトは表情なく一番下の弟に近づくとバシンと横に吹っ飛ぶくらいのビンタを喰らわせる。
一瞬 何が起きたわからないと言う顔をしてから
殴られた頰を触り そしてポタポタと口元から出てくる血がカーペットに落ちると怯えたように無表情な兄を見る。
「アル兄様 召喚は成功してたのになんで」
「お前は本当に俺らの言った意味がわからないんだな・・」
何の感情も持たない声色でそう言うと跪づいている
弟の隣に向かい頭を深く下げる。
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