第9話

「お お兄さん 何する気?」

「御子を害そうした愚か者に死を・・ 足りぬなら

この国全て者に死を・・」

冗談じゃなくて本気で言ってる。

「いやいや そんな物騒の事しないでよっっ てか津波っ」

思い出して話題を変えると目の前にいた青年は青白い炎の球を消して振り返って私の手を取ってそれを

自分の顔に沿わせる。

『貴女の幸せだけを願っていた だから利用されない 好きに生きられる世界へとお送りしたのに』

『え? ならお兄さんなら私の事返すことできるの?ならお願いします。えっとここのお金は無いけど戻ったらきちんと払うから』

帰れる!!勝手に決めたけどここでデッドオアライブな生活よりは節約生活の方がいい。

『我は魂しか異界には送れない 時間も何百年も

かかる。そして同じ場所を指定するのは無理だ

だからこそ あの者が許せぬ』

魂って死なないと無理ってことで 例え死んでも元のとこには帰れないって詰んだわ・・

ポロっと涙が頰を伝う。

何故だかわからないけどこの人が嘘をついてないだけはわかる。

『すまない・御子が望まれる事ならばどの様な事も思うがそれだけはできぬ。力不足な我を許してくれ』 

陳謝というくらいの扱いを受け こんな事今までされた事ないから反応に困るっっ

しかも相手は乙女ゲームにでてきそうなら美形で

異界転生者の夢みてるの?

それとも何かの乙女ゲームに転生?

いや こんなゲームみたことない・・・


多分五分もかからないうちにはっと津波の事を思い出す。

『お兄さん 津波 津波から逃げる人手伝える?」

『津波?御子が望まれるならば止めますが この様な愚か者達をお救いされるのか?』

「海の側にいる人はただ私と同じ様に毎日 同じように生活してるだけでしょ?それを奪うなんていくら腹がたってもしないよ」

平凡な日常 たまに退屈だと思う生活 でもそれが

一番尊くて幸せなんだって思う。

『御子が望まれるならばお止めいたしましょう。

ただ お力を、お貸しいただきたい』

「私ができることならするよ。てか生贄にチコやステラちゃんとか言うのなら拒否するから」

それをいうと少し唖然としてからクスクスと笑いはじめる。

『我は猫も獣人も食する趣味はございませぬよ

貴女は本当にお優しい ここでは獣人などいくらでも代わりがいると命の心配などするものはいないというのに・・』

「私 この国の人じゃない ステラちゃんはいい子だし さっきだって守ってくれようとした。そんな人を守りたいと思うのは普通でしょ」

何言ってるんだと思いながらいうと側にいてたステラちゃんまでが唖然としてポロポロと泣き出し始めている。

「ステラちゃん?あーごめんね 怖かったよね

だから逃げていいんだかーぶっ」

言い終わるまえにガシっと抱きつかれる。

「聖女様っっ 何があってもお守りいたします

命に代えてもお守りします」

泣きながら言われるが何が琴線に触れたんだろうと

思いながらトントンと背中を撫でる。

『我の名を呼び 津波を止めよというだけだ』

「名前 知らないですが?」

『紫紺』

短くそう言われると目の色見て納得する。

深い紫に紺色が入った様な瞳 紫をつかうって高貴な人なんだろうなと思う。

「『紫紺』津波を止めて下さい あと地震も 地震が続くとまた津波がくるから」

「御子 畏まりました。 そこの娘 御子の信にむくい 我が戻るまで御子をお守りせよ」

ビクビクしているステラちゃんにそう言うと光っている人差し指をステラの額にあてる。

「御子を守る力だ 自身の欲のために使った時は

容赦せぬ 心得ておけ」

そう言うとさっきと同じように私の手をとって自分

手でそれを包み込むように握り額をつける。

「しばし お側を離れますがあのような愚か者が御子の身を害そうすれば次は容赦いたしませぬ」

立ち上がるとパチンと指を鳴らす。

『美鈴 花梨 木蓮 御子のお側に 悪意ある者が

近つまきときは排除せよ ただ命は取るな 御子が

悲しまれる』

キラキラした光の中から現れたのは妖精だった

ファンタジー過ぎる

しかもパタパタ飛んで可愛い

『えーー ドタマかち割りしたかったですー』

『解剖したかった』

『貴女達 御子さまへのご挨拶が先でしょう』

物騒な言葉にドン引きしていると金の髪に淡い紫の

目をした子が物騒な発言をしてた二人の頭に拳骨を落とす。

『御子様 美鈴と申します。愚妹が失礼をして申し訳ありませぬ。主様が不在の御身は我らがお守りいたします故 ご安心を』

お姫様?と聞きたくなるような容姿と礼儀 

ビスクドール??と思っていると紫紺は嫌そうな顔をしながら

『では 頼んだ すぐ戻る』 

そう言うと目が絡むくらいの光が紫紺を包む。

光がおさまるとそこにいたのはさっきの青年ではなく瞳の色だけが同じ竜だった。






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