第8話

「王子やその魔導師達に今すぐ責任を取らせろ」

「身を捧げて 禁忌を犯した罪をあがらえ」

小さく囁かれていた声が大きくなっていき ハッキリと聞こえるようになる。

「王子が呼んだものも全てを捧げて 守護龍様にへの失礼を詫び陳謝の儀式をいたしましょう」

陛下っっ アルフェルト殿下っとすがるように口々にそう言いだしている。

唖然として聞いていると側にいたステラちゃんは後ろのハンドルをぎゅっと改めて握ると耳元で囁くように言う。

『何かされそうになったら逃げます。聖女様は私が絶対にお守り致します』

それはありがたいけどさっきみたいに怪我でもしたらと思っているとエディアールが煩いっと癇癪を起こしはじめる。

「こいつが・・こいつが悪いだけだ!!こいつが聖女召喚の邪魔をした そのせいだ!!」

私を指差して周りに怒鳴るように叫ぶ。

少しでも可哀想と思った私が馬鹿でした・・・

昼行灯みたいな兄としっかりしている兄 二人が貴方を叱って 今必死に頭下げてる意味すらわからないくらいの?と まぁこの大人達の手のひら返しが怖くなって虚勢を張っているのかも知れないけどと思いながら見ていると手に赤い球のの入った杖が現れる。

「こいつの・・こいつのせいだっっ 国の為にっ

兄上達の為にしたのにこいつのせいでっ」

杖を構えてこちらに向けるとステラちゃんが上から私をきつく抱きしめる。

「私が 私をお守りしますっ だからじっとしていて下さい」

「ま 待って 逃げてくれていいからっっ 他の人も出て行こうとしてるんだからつっ」

「先程 私を心配してそして助けて下さいました。獣人族は命には命で返すと言うのが信条です」

そんなのいいから逃げてと言いたいのに言葉が出ない。目の前にあったのはゲームでしかみたことない火の玉だった。

夢なの? 

焼かれたらかえれるの?

色々な声が聞こえる でも は元の場所にと言う言葉は聞こえない。


ただ 不具を聖女として呼んだから守護竜がお怒りになられたのだしか

私だってこんな身体になりたくてなったわけじゃない。

来たいと言った覚えもない。

自分は聖女だなんて一言も言ってない。

気がついたらここに居てただけなのに・・・


「ステラちゃん 逃げて」

「聖女様 お優しい言葉 嬉しかった」

優しく言葉?

なにが?と思う。出会ってから一時間すらたってないのにあんな大きな火の玉を見ても私を守ると言って包み込むように抱きしめている。

「私は聖女なんかじゃないよ だから 危ないから

早く逃げて」

「私にとっては聖女さまです」

段々 火の玉が大きくなってくる。 昼行灯そうな長男が色々と何か言って 美形の次男は弟を止めようとしているが止まってない。

やる気あるの??って思う。

頭ぶん殴って 辞めさせなさいよっやっぱり口だけかあの昼行灯と美形弟と思い 覚悟を決める。

「チコっ あっちにいって」

マイペースに足元で毛繕いをしている猫にそういうが聞くかがないらしくお腹を見せて寝転がりはじめる。

「ステラちゃん この子を端の方に連れて行って」

「え?」

「大事な子なの お願いします」

軽く頭を下げてそう言うと抱きついて炎から守ろうとしてくれていた少女はチコを掴んでいる。

「すぐ お側に戻ります」

戻らなくていいからチコと退避してて

あと せめて抱っこにしてあげてと思いながら首の肉を掴まれてニャーンと嫌がってる状態を見てこれが見納めねと思う。

赤ちゃんの時は手の上に乗ったなぁー 

病気になった時 雪の中キャリーに入れて病院まで

二駅分歩いて診察して下さいって頼み込みにいったなぁ等と今ある現実から逃避しはじめる。

『てかなんで勝手呼ばれて 不具呼んだからだと罵られて たまたま起こった地震まで私のせいにされなきゃなんないの?・・で処分ってふざけんなよ』お前の残念な頭を処分しろっとぶつぶつと言っているとエディアールの作っている火の玉は段々と大きくなっていく。

あぁ よくやったRPGの最大火炎呪文ってこんなのなんだなーと逃避思考で思っていると目の前に人が現れる。

ここに来て初めてみた同じ黒髪の青年だった。

『ここまで堕ちたとは・・』

「ちょっとっっ危ないから逃げて巻き込まれるよ」

慌ててそう言うとその青年は振り返って少し笑う

『我の事 案じてくれておるのか?』

『人を巻き込みたくないのっ こんな死に方理不尽だとは思うけどだからと言って 知らない人を道連れにするクズにはなりたくない』

勝手な事ばかり言いやがってお前らも道連れにしてやるっといえたらスッキリするんだろうけど後味は悪いし最後はきっと後悔する。

ー覆水盆に返らずだよー

言い過ぎの時によく窘められた言葉を思いだす。

走馬灯ってこんな感じなのかなそう思っていると

ニャーと言う声とともにタックルをくらう。

「チコっっ」

膝に陣取り始めたのをみて頭が痛くなる。

「まちななさーい」

そう言いながらステラちゃんも戻ってくる。

いやもう ほんとあの火の玉来たらみんな焦げるだけじゃ済まないのよ

頼むから逃げてと言おうとするとが遮られる。

「ニセモノがっ お前せいで お前さえ来なければ

本当の聖女が呼べたんだっっ」

そう言いながらさっきより数段大きくなった火の玉がこっちに放たれる。

駄目だ 死んだと思っているとにさっき出てきた青年がそれを受け止めてまるでなかったかのように消し去る。

「御子に手を出すとは・・守護するに値せぬ」

低く響く様な声とその一言で 辺りのざわめきが止まり恐怖したような瞳が注がれる。

「最大呪文が・・・お前っそこをどけ そのニセモノを庇うなら投獄するぞっ」

自分の魔法が一瞬で消されて驚きながらも怒りに油が注がれたかのように喚きながら言う。

それを聞くと青年はふっと鼻で笑う。

そして優雅な手つきで空中を回すよう動かすとさっきの火の玉よりも大きなものを作り出す。

色も赤くはなく青白い さっきのものより高音で

上だと言う事が見てるだけでもわかる。












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