第6話:何故貴様などが魔王なんだ!

 私は、わけわからないけど今、情報を集めるためおじさんとふたり旅をしている。というのも……。


 ――馬車


「そういえばおじさんの名前は?」


「あ、ああ別に名乗るほどのものじゃねぇ。おじさんで良い。」


「好きな食べ物は?」


「肉、っと甘いもの」


「好きなことは?」


「チェスだ」


「好きな、アニ、いや物語は?」


「黒炎姫だ」


「好きな……ひ」


「って、さっきから尋問かぁぁぁ!!」


 

 今の所情報という情報はなく、おじさんからいろんな知識とか馬車の操台の上で無駄話しているだけだ。 良くいる山賊となんて出くわしていない。



「そういえばよ。嬢ちゃんは意味わかんねぇこといってるけどよ、向こうじゃそういうのが普通なのか」


 おじさんは、急に真面目なトーンで喋りだした。


 変なこと?私言ったかな?  


「何が?」


「いや、ムードリアの文明力だよ。聞く限りじゃただのカラクリとかのレベル

 じゃねぇ。ここらじゃあ罠つっても、魔法無しで物体を動かすような奴も、魔法があったとしても、精々暑いときに風起こしたり、着火に使う程度だ。そんな才能万に一つだ。そうだ、だから嬢ちゃんの国もいかれてやがる」


 おじさんは言う。もし私の言ったことが本当ならば、最東の大陸はいずれ世界を終わらせてしまうと。

 でも確かにあれは……。

 この大陸、最西の大陸に属するこの国、ベルイナは商業、農業で発展しているらしい。

 そして過去に世界大戦があり、植民地支配などが行われていたものの、今は開放されどの国も絶対王政から立憲主義が主流になっているらしい。

 そんな、平和な時代に…


「あの大陸はまずいな。世界の均衡が……。こりゃ、今のうちに」

 馬車を止め、うつむくおじさん。その表情には、余裕が無かった。

 そして少し時間が経ち、顔を上げ、私に言った。


「嬢ちゃん確か魔王、だったよな?」

 おじさんは再びうつむき、


「嬢ちゃん。けなすようで悪いんだけどよ、なんで嬢ちゃんが魔王何だ? また悪いんだけどよ、世間知らずの娘がなんでだ?話に出たヒートってやつが、いやそれは、周りの奴らも無能だろ」


 私は理解できなかった。いや、していた。が、図星を突かれそして、つい感情的になり言った。


「そんなの分からないわよ! 気づいたらこの世界にいたの!」


 私の言葉を聞きおじさんは目を丸くする。


「そりゃ輪廻転生ってやつか? 確か黒炎姫で出てきた…。」

 黒炎姫? さっきおじさんが好きって言ってた……?


 おじさんは顔を近づけ、つばを飲み込み言う。

「どんな死に方したんだ? いや間違えてたらすまん。いや、すごいこと聞いちまったな」


 死に方?そんなの…

「私に隕石落ちた、はい死んだ」

 多分そんな感じだ。


「ま、まさか! 完全に一致しているわけじゃねえが黒炎姫は黒い炎に包まれて死んだ。似ている」


 はっ! 物語とはいえ私と同じような人いるんだーww


「で? どうなったの?」


「ああ、性悪の神に訳わかんねえことに転生させられ、出来もしねえ大役やらされて、裏切られて、嵌められて死んだ」


 悲しい話。まさにそうだよ。なんて言ったかな? そうだ! バーナム効果だ! それが働いているに違いない。


「まさに私ってわけね?」


「ああ。ここまで似てるとは、だが嬢ちゃんは生きている。それに、黒炎姫には黒い炎を操る異能があった。それなら嬢ちゃんにもあるはずだ」

 黒炎に包まれて死んだから、黒炎を操れる。

 それなら私は、隕石を?


「まあ、一応魔王なんだ。多分出来るんだろうがやるなよ。森なくなるから。ともかくだ、世界の現状を見たときに戦争は避けられん。最東の大陸がどこかの国に支配された時始まる。こりゃ、あんまりガキっぽくて嫌いなんだけどよ、嬢ちゃんしかいねぇんだ! 平和なこの世界を守るにはよぉ。だから、頼む! 世界を!俺の家族を救ってくれ!」

 おじさんは地面に頭を擦り付け必死に懇願する。

 展開早すぎでしょ。いくらなんでも急ぎすぎじゃない? でも……!

 私は嵌められたとは言い、失敗した。楽観的すぎた。遊びじゃない。色んな人の人生を奪った。でも、だからこそやらなくてはならない。でないと申し訳ない。だから答えは!


「私は魔王。魔王イアよ!」

 不格好な決めポーズをとり、誓う。今度こそ魔王として。遊びじゃないゲームじゃない。ここは異世界。弱肉強食だ。


 こうして私は、いろんなことを考えながらも、  

       


       魔王として、世界をとりあえず統治することにした。

        

 決意をするには軽すぎるかもしれないがしょうがない、だって現代のjkだもん。

 ゆるく、楽しく!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る