第11話:初めてのまともな戦闘
「う、うーん。おはよー」
今日はついに入学式。素敵なお友達できるかな?
「あぁ! もうこんな時間! 急がないと……」
あぁ、遅刻しちゃうよー。折角の入学式なのに食パン加えて登校なんて……
「きゃあ!」
いてて、確認せずに曲がったから誰かとぶつかっちゃった……。
「すみません、大丈夫ですか?」
「イア……」
「名前読んでくれたー!!」
私はその人の顔をよく見てみる。
「殺す、殺す!」
その人はそんなことを言いながら私に歩み寄る。
私は必死に逃げる。ふと、後ろを振り向くと……
「殺す!」
「お前のせいだ!」
「ふざけるなぁ!」
| 数が増えていた。|
ー ー|
「きゃぁぁぁ!」
「どうした?」
「きゃぁぁぁ!」
「落ち着け!」
「きゃあきゃあ!」
「どうしたんだイア?」
エルアが問う。
「え?」
辺りを見渡してみる。するとそこには見慣れた部屋があった。
どうやら夢を見ていたらしい。
「良かったー」
……良かった夢で。でもさっきのは何だったんだろう?
「イアちゃんおはよう」
レーンが心配そうに眉を潜めて言う。
「うん……大丈夫……」
……気分としてはゴールデンのホラー映画を見て夜中にトイレに行った感じだ。何というか、後ろから何かが這い寄ってくる感じ?
重い腰を上げ、立ち上がる。そして軽く柔軟体操をして体をほぐす。
「それにしてもイア、今日は入学式だな」
「そうだっけ?」
「おいおい、しっかりしてくれよ!」
……エルアに言われるまで忘れてた。今日は入学式の日。でもそんな日にこんな縁起の悪い夢を見るなんて……。ま、いっか!!
「み、皆もう時間がな、ない」
チブキが言う通り時刻を表す水晶を見てみると、八時を指していた。
「い、急げー!!」
集合は八時八分。間に合うかどうか微妙なところだ。
「ああ、もう! 普通に走ってたら間に合わない!!」
私は飛行魔法を使おうとした。が、レーンに急に腕を掴まれ阻止された。
「レーン! 今は遊んでる時じゃないんだよ!」
レーンの腕を振り払い強めに言う。
「イアちゃん。この町では飛行魔法使っちゃ駄目なんだよ」
「え?」
……駄目なの? 何で?
「ああ、確か敵と間違えるからとか何とか……。実際、うちの学園の生徒がそれを破って飛行し、撃墜されたらしい。全治半年だそうだ……」
「ひえぇぇ!!」
……怖っ! いくらなんでも凶暴すぎ……。そういえば、ここらには鳥がいないような……。
「み、みんな、もう八時五分!!」
……そんな事考えてる余裕無かった……!!
「急げぇ!!」
セットした髪やらアイロンかけた制服やらが乱れるのも気にせず私達は学園に走った。
――学園
「はぁ、はぁ、間に合った……?」
一の一と書かれた教室にたどり着いた。ちなみにクラスは四人とも同じだ。
その古く、立て付けの悪い戸を開け中に入ると、教壇に立っていた高身のスーツを着た女教師が言う。
「貴様ら、今何時だ。言ってみろ……!」
――全員生徒指導室に連れて行かれた。前世でもちょっとしたいたずらで同じように生徒指導室に連れて行かれたけど、『次はしないように』と、言う軽い注意だった。が、規律絶対重視のこの学園は違う。もうすぐ入学式が始まるというのに、何故か腕立て伏せをさせられている。
「も、もう限界……」
「立てぇ!!」
「はいぃぃ!!」
竹刀を床に思いっきり叩きつけ次は叩くぞと脅してくる。
「よし、今日はこのくらいで勘弁してやろう」
……終わったぁぁ。もう千回ぐらいやっただろこれ……。
ようやく開放され一度教室に戻る。教室に入った時パンパンに膨らんだ私達の腕をみて皆少し引いている。
そんなこともあって私はあることを決意した。
「……遅刻、もう、し、ない……」
――学園:大講堂
「入学生入場」
派手なオーケストラの音楽と上級生の拍手の音と共に、さっき先生からみっちり教え込まれた行進で入場する。
「――アル様ありがとうございました」
知りもしない人達の
そして、式はいよいよ個名の点呼へと写った。同級生はざっと見た感じ百数十人ぐらい。一組な私は早いんだけど……。待つのも辛い。
――そんな時だった。大講堂は何か大きな存在によって突如崩され始めた。
そしてみんな瓦礫とかの下敷きになった。
「う、うぅ……」
かろうじて起き上がったのは、私とレーンと、若干名だけだった。
「チブキ! レーン!」
瓦礫の山をかき分け二人を探す。けど、あれだけの人数がいたから見つかるわけもない。さらに、大きな存在は何やら口にエネルギーを集め、今にも発射しようとしている。
みんなのことを守るにはやられる前にやるしかないと判断した私は、禁止されていた飛行魔法を使い大きな存在の後頭部に回り込む。
……例の迎撃システムはどうなっているのだろうか?
「電撃、強度十!」
今できる最大の攻撃をする。この魔法は強度三ぐらいでもそこらへんの農民ぐらいなら気絶させられる。それの十! 流石に殺っただろうと思っていると……。
「ぐぉ?」
『今なんかした?』この大きな存在の思っていることを代弁するとこんな感じ。全く聞いてない……。
レーンが飛竜に变化し私の所に来た。
「どうしよう、レーン」
成す術のない私にはもう何も……。
「イアちゃん。私に良い作戦があるの」
「それは……?」
「イアちゃんの魔力を溶媒にあれと同じぐらいの大きさに变化する」
レーンの能力は魔力の量で強さ、規模が変わってくる。そこで潜在魔力が桁外れの私の魔力をレーンに分け対抗する。
「じゃあ、イアちゃんお願い。私に魔力をわけてくれぇ!!」
レーンの首筋に手をかざし力を込める。何かが抜けていく感覚があるから、ちゃんと分けられてる。
「イアちゃん、準備オッケイだよ!!」
「分かった」
手を離しレーンから離れる。ふと見ていると私はあれを思い出した。アニメ好きの弟が見ていた特撮モノを……。
レーンの体のあちこちから大きな手足が飛び出してくる。
「うぉぉ!!」
の、咆哮の後レーンは大きな金魚に変身した。
「何で金魚?」
私は変身対象に疑問を持った。
……金魚って、ここ海じゃないじゃん。
が、私の予想は的外れだった。れんきんぐ(仮)は空高く飛び上がり大きな存在を一瞬でプレスした。
それを受けた大きな存在は戦闘不能の状態になっていた。
「イアちゃん殺ったよ!!」
変身を解き、背中を部分的に变化させ翼を生やしたイアが嬉しそうに言う。
「殺ったね!! レーン!! って、まてよ……」
弟が言ってた。こういうのは第二段階があるのが常識だって。
……まさか、これは現実。そんな事あるわけないよね。
「ぐぉぉ!!!」
……あんのかよぉ!!
「イアちゃんどうしよう。もう変身、出来ないし。それになんか進化してる……」
黒っぽい色をしていた大きな存在の体は全身金色でその毛を逆立てたような感じになっている。
……あれ、いかにも強くなってんじゃん。どうする……? なにか方法は! なにか方法は……? あっ!
「安心して、私にも切り札がある」
今の今まで忘れていたが私には私だけの異能がある。それをお披露目するにはいい機会だ。
……ふっふっふ、私の実験台になれ!!
自分の胸に手を当て息をゆっくりと吸い込む。魂から聞こえてくる。どんな詠唱をすれば良いのか。
「Mutterstern, beschwöre mit deiner Kraft einen Meteoriten aus einem anderen Raum und zerstöre das Ding!『メテオリーテ!!』
女子高生が魔王になったのでとりあえず世界を統治。 名前 @mayu12191219
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