第10話:私がタイトルを書いている時は知らなかった……。

 あらすじ。それはあらすじ。私はあらすじ。君もあらすじ。

 あらすじ……。


 ――学生寮自室


「はぁ、先が思いやられる……」


「すみません……」


 私達はさっき迷子になった。この部屋の近くで……


「気にしないで。ま、まあ次はきっと……」


 私がそういうも、いつもの体育座りで顔をうずめてしまった。


「だ、大丈夫だから! それより、他のルームメイトはいつ来るの……?」


「はい。チブキさんは上のベット。で、アリルさんはまだ帰って来てません。」


「なるほど。チブキさんとアリルさんっていうんだ……って!」


 私はすかさず空のはずのベットを見る。

 向かいのべットの上段。そこには……


「誰もいないじゃん」


「ああ、チブキさん。その人はイアさんです。とっても良い人ですよ」


 レーンがそう言うと……何もなかったはずのベットに人影ができた。


「ど、どうも。わ、たしは、チブキ、よろし、く」


「よろしく」


「綺麗」

 そう思ってしまうほどのきれいな黒髪。レーンと比べてみると、レーンは緑髪。

 で身長は多分百五十センチぐらい。そしてこの人は百六十ぐらいの身長に整った顔だち、大きい胸……。


「え、えーっと……?」


「あ、ああごめんなさい。ちょっと気になってね。さっきまでいなかったはずなのになんで?」


「イアちゃんそれはね、チブキちゃんの能力、認承阻害の影響だよ! すごいんだよー、認めた相手じゃない限り姿を認識出来ないの!」


「う、うん。でもね制限があるの」


「制限? まあ確かに強力な能力だし……」


「私、能力を使っている時は物体に触れないの」


「なるほど」


 やはり、強い能力には代償があるものだな。ていうか、その代償がなかったら最強、一人で世界落とせるじゃん。


「よろしくね!」


「う、うん」


 私はたくさんお話をした。例えば、好きな食べ物なんてことだったり……。


「あはは。いやーここへ来る前は不安だったけど楽し……」


「きゃぁぁぁ」

 突然の外からの悲鳴。私達は外に出て見てみると……。


「私の胸がぁぁぁ!!」


「私のもぉ!」


 胸部を押さえた人たちが床に崩れ落ちていた。


「あのー? 何があったんですか?」

 レーンは近くにいた人に尋ねる。


「突然胸が、胸が! なくなったの!!」


 なるほどー!!って、胸?

「どういうことですか?」


「たまたま歩いていただけで特に何もしてないです」


 私達は他の人にも訪ねてみる。だけど皆一貫して『たまたま歩いていただけ』と言う

 そんな中私達は寮母さんがあわあわしているのを見つけた。


「寮母さん……? って!」

 寮母さんの姿がいつもと違う。特に、胸が。寮母さんは間違いなくFはあった。それが今は……。


「何が起きているの?」

 私には影響がない。それにレーンとチブキも。分からない。何が起きているんだ……?


「た、多分、アイツのせい」

「うん絶対そうだよね」


 レーンとチブキは顔を見合わせ言った。

 あいつとは?


「ちょっとまっててくださいね。今連れてきます」

 そう言うとレーンは子犬に擬態し、駆けていった。


「れ、レーン。また迷子に……。待って!」

 そして迷子にならないようチブキも行った。

 


 少し時が経ち、レーン達は帰ってきた。


「えーっと、その子は?」


 手にはロープで固く縛られた女の子がいた。


「この騒動の犯人だよ」


「ほ、ほら。は、早く戻してあげなよ」


「しょうがないわね! ほら、戻したわよ」


 そう言うと、皆に胸が戻っていった。


 そして立ち上がり、こちらに詰め寄ってきた。


「やってくれたわね、エルア!」

「あんた何回目?」

「本当に怖いんだからね!」


 皆一言ずつ不満をぶつけていく。そして皆部屋に戻って行った。


「で、どういうこと?」


「ほら、エルアちゃん。説明して」


 レーンに言われふてくされながら言った。


「ほう。貴様、我の名を知りたいのか?」


「いや別に」


「ほ、ほう。良いだろう特別に教えてやろう知ったからには汝に災いが降り注ぐだろう」


「望むところだ」


「調子狂うな。まあ良い、我の名はエルア。神よりこの世の理不尽を滅するために召喚された堕天使だ」


「じ、自称だからね」

 レーンが補足する。


「なに。貴様も召喚された身か」

 このノリ割と面白い。乗っておこう


「ほう。貴様もか、ならば我らは同じ使命を与えられしもの。特別に私のことを教えてやろう」


 そう言うとエルアは目を手で押さえながら言った。


「我に秘められしその力。それは呪いだ。具体的には人の身体を弱化する。特に胸を得意としている。巨乳殺しソウルブレイカーの二つ名を持っている。

 どうだ! 我の力は! あぁ、自分の力が恐ろしい……」


「と、言われても……」


 私達の視線はエルアの体に向かった。黒髪ツインテール、貧相なソウル。小学生のような小柄な体。

 そんなのね、


「「ひがみとしか思えねぇ……」」

 そんな考えが私達の頭に浮かんだ。


「ともかくこれからよろしくね、みんな!」


「「うん」」



 ――自室ベット


 こうして私の学園生活が始まる。

 明日は入学式だ。なんとしてもこの三年で力をつけたい。

 頑張るしかないか……。私は努力が苦手だ。すぐ結果が出ないととてもやってなんていられない。嫌だ。正直に言おう、私は漫画に出てくるようなキャラじゃない。こうして脳内会議しているのもダルい。正直遊んで暮らせるならそうしたい。責任なんて負いたくない。あぁ、考えてたらきりがない寝よう。







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