女子高生が魔王になったのでとりあえず世界を統治。

名前

第一章:まずはご近所さんを

第1話:運命の日

――自宅


 突然とつぜんだった。私の日常が変化したのは。

 ある日地球いいや、私に向かって隕石が落ちてきた。

 だが、地球が爆発することはなく私に直撃して消滅した。

 そしてそのまま死んで異世界に来てしまったらしい。

「う、うんっ」

 目覚めると、なぜか、囲まれていた。

「うぇえ! だ、誰?」


「おー、魔王様のお目覚めだぞー」

「「おぉぉぉー!」」

「魔王様?」

「魔王様よくぞお目覚めになられました」


「え? 魔王様って私?」

「何をおっしゃるんですか、あなた様を差し置いて魔王というものはいません!」

「わ、 私普通の高校生なんですけど……」

「ええ! 知っておりますとも。あなたは世界に選ばれ、この地に降り立ったのです」


「そ、そんなこといわれてもなー」

 私、本当に普通の高校生だぞ?

 なんか、悪いことしたかー?

 あっ、そうだ! これは、夢だ。そうだ! そうに違いない! そうであってくれ!


「痛ててててて!」

 っ、夢じゃない! ってことは本当に魔王に?

 まあ、そんなわけないか! 適当な理由つけて逃げよ!


「でも、私が魔王なんて、だって普通の高校生だよ。弱いよ、力ないよ!」


「それなら、ご安心を! 世界に選ばれし魔王は気付いていなくても巨大な力を持っています」


「っていわれてもなー」


「魔王様、試しにあの壁に向かって、クライルと、言いながら手を向けてください」


「え? わかったよ。期待しないでね。

 クライル!」


 私が魔法を唱えると、壁が、塵一つ残さず消滅した。

「はぁぁぁぁ!」


「さすが、魔王様、あっぱれです!

 さて、これでお分かりになったでしょう。あなたは、この世界の、魔王と、なったのです」


 は、この人何を言って…

 いや待てよ、異世界、魔王、魔王?

「ま、魔王って、何をするの?」

 正直興味はある。この状況にまだ混乱しているけど、ここがどこで何のか分からないけど、最強の魔王なーんてすごくかっこいい。

 でも、意味もなく罪のない人を殺戮するのは、無理だ。

 私が憧れるのは、暴君じゃなくて、部下や民衆に慕われるような魔王だ。


「場合によっちゃ考えなくもないけど。

 あ、でも、罪のない人を殺すのは絶対NG! わかった?」


「ええ。意味のない殺戮など誰も報われません。当然でございます」

 おお。魔族といえば常に人間を殺すことしか考えていないと思っていたけど、

 意外と人道的ー。


「で、私は何をすれば?」


「魔王様には、この世界を統治してもらいます」


 え?


「今、この世界は、国同士が、戦争を繰り返し、多くの死人が出ています。それを止めるために統治してもらう必要があるのです」


 何かスケールが! でもこういうのも良いのかもしれない。よくあるじゃん。

『おお! 勇者よ! 世界を救うため旅にでよ!』 って、やつが……

適当に真の力に目覚めて適当に世界救って、ちやほやされながらくらそ。


「わかった、魔王になってやろう」


「「おぉぉぉー!」」


 こうして、私は何が何だかわからないまま、 『魔王』 になったのであった。



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