第3話:実行

――魔王城



 私は何故か魔王になった。

 そして私は魔王として、世界を統治することとなった。


「では、直ちに集結!」

「はっ!!」

 ヒートの呼びかけにすぐに答え、兵士たちは一列に並び、集結した。


「転移魔法は!」

「はい、準備はできています」

「例のやつは!」

「整っております」

 いろいろ確認を取り終えると、少し頬を緩め「いける!」と言わんばかり雰囲気が辺りに充満した。


「魔王様これを」

 ヒートは何やら厚い本を渡してきた。


「せんとうまにゅある?」

 そう書かれた本には詠唱の方法技の種類がつづられていた。


「この通りに行えば魔法が使えます」

 そうだよね。だってチュートリアルだし。


 そういったあとヒートは、全軍に向かって……


「作戦を説明する。まず第一部隊は空からの囮。第二部隊と私と魔王様は魔法による地中からの司令部への攻撃。残った二人は連絡役兼防衛だ。魔王様一言お願いします」


「えーとっ、が、がんばるぞ~!」


「「おぉぉ!!!」」


 私は飛行部隊が動かす、疑似気球みたいのに乗って、民衆に「がんばれよー!!」などと声援を受けムードリアへと向かって行った。



 ******

 ――ムードリア上空。


 「全軍定位置に付きました」

 上空の指揮を任された、ルックという男が、通信連絡に用いる魔法、メッセージを使って報告してきた。


「よし、やれ!」

 私がそう言うと、空中から爆発音が鳴り響いた。今私達がいるのは地中。魔法で通路を作り進んでいる。


「ディメンションホール!」

「インフェルノ!」

 空中からの広範囲攻撃を受け、ムードリアの街はどよめき出す。

 超順調。楽勝じゃん。


「なんだ。何が起きた。空に何かいるのか? 夜だから見えん。」


 空から降り注ぐ魔法に街の人々は逃げまとう。

 しかし、罪なき人は殺さないように。という決まりを守るためギリギリで当たらないようになっている。

 兵士が少々慌てながらもなれた手付きで迎撃体制を取るも、夜の暗さそもそも空に弱い土地、少人数ゆえの狙いにくさなど、さまざまな条件が重なって放った矢や魔法は当たらなかった。



 *****

 ――地中


「魔王様、空中部隊は何の問題もないようです」


「よかったー!!」

 最悪のことも考えてはいたけど、何の問題もなくてよかった。

「よし、長いは無用よ! サックと行きましょう!」


 かくして私達は、この隙きに敵司令部へと向かった。


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