第4話:嵌められた。
――地中
「うわぁぁ! また口に土入ったぁぁ!」
何故地中などにいるかと言うと、私達は今、空中の部隊を囮にした、地中から内部に行き、司令部を叩くという作戦を実行しているからなのです。
でも地中にはミミズみたいなのとかいて最悪。さっさと出たい!!
と、思ったのも束の間、壁からたくさんのものが出てきた。
「きゃぁぁぁ!」
私が思わず叫ぶと、
「な、なんだこれは。ぎゃぁぁぁぁ!!!」
以外にもビビりだったヒートが叫んでいた。
「どうしたんですか? ヒート様?」
「怖いんでしゅか?」
それを見た他の連中は、これみよがしにヒートを煽り始めた。
「べ、別に怖くな、い。」
それを受けて、顔を赤らめながら弱々しい声で反論した。
そんなヒートを見て私は面白いなと思い、からかってみた。
「そう。怖くないなら今度ヒートのベットに、小さくてたくさんいるあれを入れておいてあげようかしら?」
すると、ヒートはその場に膝から崩れ落ち、膝を抱えながら私に言い放った。
「こ、この鬼! 鬼畜! ま、魔王!」
いつもの知的な態度はどこへ行ったのかと言わんばかりの、発言だった。
正直、最初は面白半分にからかっていた連中も、今は引き気味になっている。
それに、
「魔王だよ!! 忘れんなよ!」
と他愛もないことをしていると、部隊の敵感知係が叫ぶ。
「敵がこちらに向かってきております! 恐らくは、空中部隊の攻撃によって被害が出ていないことに感づいていると思われます!」
え? 何事? これってピンチじゃ。でも序盤だし……。
大丈夫でしょっ!
地中の壁が崩れだし、道がなくなってくる。 私達は、魔法でひとまず地表に出ようと、してみるが魔法が発動しない。 私達は油断して気づいていなかった。空中部隊からの連絡が停滞していたことに。 何故こんなにも簡単にことが進むのかを。
これまずいかも……。
「っち、やられた。魔王様、どうやらここには我が国に張り巡らされているもの以上の結界があるようです」
あれ以上?なんでそんなチートみたいなことを序盤の、チュートリアルの敵が……?青ざめたヒートの顔みて、私はことの重大さを理解した。たしかに感じる この倦怠感、風邪とかと比べ物にならない。
まずい! まずい! まずいぃぃ!!
考えてみるとおかしかった。私達の国よりマンパワーがありはするが個々の戦力が確実に劣り、おまけに攻められやすい立地のこの国が何故、在り続けることができるのか。
そんなことを考えているうちに、部下たちは全員倒れた。
「まずい……このままだと」
私は幸い魔王なので部下たちとは比べ物にならないほどの力を持っているおかげか、意識を保てていた。
どうする、どうする。魔法が使えない。それに凄く……。
――瞬間、目の前の壁が崩壊し、やせ細った老人が現れた。
「いやー流石に、どうかしていますよ。私共の国は、カラクリじかけの文明国。そんな我が国に少人数で。しかも程度の低い囮で内部に潜るなんて。浅はか、本当に浅はか」
老人は、笑みを浮かべながら煽るように言ってきた。
ムードリアは、いわゆる鎖国中の日本のような国で、軍事力、発展度にしても、他国に劣り、何とか存在しているような国だって、ヒートから聞いていたのに。
ラクラク攻略は……?
「ああ。ヒートがそういったのですね。まあ及第点と言ったところでしょうか」
「何を言って!」
私は理解できなかった。何故ヒートを知っているのか、何が及第点なのか。
すると、気を失っていたはずのヒートが立ち上がり言った。
「ありがたき幸せ」
と。
老人に頭を下げ、
え? え? え? 何故? なんで? どうして? 何が?
私は、何が起きたのか理解できなかった。
私が混乱していると、
「ヒート。説明して差し上げなさい」
「は!」
ヒートは老人に一礼すると、こちらに振り返り、
「えー、まずこの作戦自体無意味だったのです。そもそもこの国の民は地中に住んでいるのです。ですから、空中の部隊は、攻撃されると騒ぎ逃げまとうただの人形を攻撃していたのです。攻撃されると連絡する機能ついているので、最初の時点でもう詰んでいました。いわば、家のチャイムを押して家のものがいらっしゃいと出迎えることと同じことをしていたのです!」
ヒートは、なんて無様なのだと思わんばかりに満面の笑みだった。
「この国には、はっきり言って軍事力はあまりありません。なので幼少期からの英才教育で優秀な人材だけを増やし、そうでないものは優秀な人の駒になるという形で知性を極限まで高め、技術を発展させ、今日まで在り続けることが出来たのです。」
老人はそう言うと、
「えー。あなた達の国が今どうなっているか知りたいですか?」
と意味深なことを言い、裾から水晶を取り出した。
そこには、兵器によって捕らえられ、奴隷として連れていかれる民の姿が見えた。
「なんで、どうしてだよぉぉぉ!!」
私は力任せに殴りかかるが、無意味だった。魔法がなければただの女子高生。そんな私が勝てるはずが無かった。こんなのありえない。いやだ! 何で! 痛い!
腹を殴られ、顔を殴られ、気を失いそうな私に、ヒートは言った。
「ただの小娘が、国なんか治められるわけねぇだろ! 少しは考えろ、バーカ!!」
そして私は意識を失った。高笑いする男の声を聞いて。
そして、
――――気づくと、浜辺にいた。
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